遺言持分―遺言と異なる遺産分割や遺言撤回、遺産買取での財産整理

遺言持分つまり遺言状に記された遺産配分(個人の遺志による共有持分の分配割合)は絶対ではありません。遺言と異なる遺産分割遺言に反する遺産分割は有効であり、資力のある1人が遺産買取してまとめ調整することも可能です。

遺言持分

遺言持分とは、共有状態である遺産に対する遺言状に記された各相続人の取り分です。

故人が遺言状に遺した相続持分の指定は、法律で定められた「法定持分」よりも尊重されます。

ただし、遺言持分の内容が偏っていると、その遺言で損をする者が損している取り分の部分を「特別受益」として再計算することが可能です。

遺言持分は、特に1人だけを定めて、「こいつに財産の半分をやる」とか「こいつにはピタ1文もやらん」と指定をしてもかまいません。

1人に対する遺言持分は、他の相続人にとっては、その遺言持分を除いた残余財産を分ければよいだけで、大した問題でないからです。

そして、その「遺言持分が偏って」いれば、遺言と異なる遺産分割を相続人間の協議で行えばいいわけです。

「遺言持分が偏っている」ことの基準は、他の相続人から遺留分を侵害されて納得いかないライン、だと考えられます。

saikoro

遺言持分は新遺言状で撤回される

遺言持分は、「新たに遺言状が出てきた!」ことでコロコロ更新されます。

新しい遺言により、古い遺言の撤回がされ、新遺言状による遺言持分が有効となります。

この新旧の遺言状に書かれた遺言持分の効力は新しい方が絶対有効です。

例えば、新しい遺言状が自筆証書遺言で、古い遺言状が公正証書遺言だったとしても、新しい自筆証書遺言のほうが有効となり、公正証書の遺言の撤回がなされます。

公的に証明された公正証書よりも、時間軸のほうが優先であり、自筆であっても遺言の撤回ができる、古い遺言持分(共有持分処分)は、新しい遺言に上書きされる、というわけです。

遺言持分を民法884条の相続回復請求権で更新

遺産分割協議書作成後に遺言状が出てきた時、遺産分割内容は遺言状に書かれた遺言持分の強制力によって、無効になります。

この場合、民法884条の相続回復請求権により、遺言持分をバックアップする形で訴訟請求することになります。

後から遺言状が出てきての相続回復請求権による遺言持分の実行は、遺言状発見から5年、相続開始から20年で時効消滅します。

遺言持分の分割方法の指定は、法定相続分を変えても遺留分を侵害しなければ適法です。

しかし、遺言持分が遺留分を侵害していた場合、遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求調停などで、自分の遺留分を保全します。

この調停がないと、遺言持分が有効として、遺言の撤回もないまま遺産分割が行われます。

遺言と異なる遺産分割

遺言持分は、被相続人つまり遺産を分け与える立場の人に従うのが望ましいですが、内容によっては遺言と異なる遺産分割手続きを遺族たちに選択させる結果になります。

遺言と異なる遺産分割、つまり遺言遺留分を優先させて、遺言に反する遺産分割で共有持分処分をすることも有効です。
なお、遺言と異なる遺産分割や遺言持分の指定や分割案はプラス財産については自由ですが、借金の処分を勝手に遺言指定できません。

資力も経済力もない無職の遺族を立てて「借金はこの者が負担する」と指定しても、債権者側が「ふざけるな!」という話になるからです。
持分の話とズレますが、遺言で個人の自宅を維持することを条件に長男に多めに預貯金を遺贈することになっても、長男がそこに住んでは自分の仕事に支障が出るなら遺言に反して自宅売却をすることがほとんどです。

計算をするイメージ写真

遺言と異なる遺産買取や財産整理

1人の資金力のある相続人が、他の相続人の遺言持分(共有持分権)を買い取る、「遺産買取」は自由にできます。

例えば遺言で「自宅を兄弟全員で相続し、みんなで守ること」を条件に遺言持分が指定されても、相続人らにも都合があります。
また、再建築不可物件などただでさえ売却困難な不動産を共有することにメリットはありません。
そういう時、資力のある1人が他の相続人から持分を買い取った形で現金を支払い、その家を取得するというような、遺言と異なる遺産分割の例などもあります。

こういういらない相続財産(不動産)を相続人の中の資力のある者が遺産買取によって現金化してあげることは有益です。

相続人間で遺産買取(共有持分買取)をしてあげて、他の相続人の利便に資することは、あくまで相対取引です。
よってその遺産買取金額は、時価として自由に値付けできます。

遺言に反する遺産分割

遺言に反する遺産分割をすることは、「遺言により利益を受ける者」を含む相続人(共同名義人)全員の同意があれば可能です。

遺言により利益を受ける者、つまり受贈者は遺言違反する遺産分割・遺言と異なる遺産相続協議をされたら不利益を被るかもしれない人です。
その人が同意することは、遺贈による受益を放棄したとみなされることになり、遺言に反する遺産分割の協議がこの放棄によって有効に機能したと判断されます。

さらに遺言執行者がいる場合、遺言に反する遺産分割を行うには、【遺言執行者+受贈者+全相続人】の全てが同意する必要があります。
これも遺言執行者が遺言に反した遺産分割をして、個人の遺志に反したとしても、個人の遺志を代襲するのは他の相続人たちです。
その全員が遺言と異なる遺産分割を望んでいるわけですから、故人の遺志に反した執行者の義務違反は、ないものとみなされ、遺言に反する遺産分割の執行が有効と判断されます。

遺言持分の放棄=相続共有持分放棄

遺言持分は、一方的なものです。だから、資力のある相続人に遺産買取による相続財産の整理をしてもらうのもOKですし、遺言持分を放棄(共有持分放棄)することも可能です。

遺言持分や包括遺贈によって、故人の権利と義務を一定割合で承継する場合、借金のほうが多ければ誰でも相続拒絶したいものです。

こうした場合、相続人は共有持分放棄で相続から外れ、遺言持分も拒否することができます。遺言と異なる遺産分割になっても、遺族の生活を優先させるほうが重要だからです。

(本文、終了)

★☆★東京~神奈川で物件を探しています。★☆★

gold

※追記:リフォームモニターは終了しました。※

リフォームのご質問・ご相談は、facebookのメッセージから受け付けます。 急ぎで作ったメッセージやりとり専用ページです。→【リフォームQ|facebook】 物件売却希望の東京~神奈川以外のかたは、今後は facebook リフォームQ へお願いします。 (2017/01/24)