建物買取請求権=借地借家法13条―借地権買取請求権

建物買取請求権を行使すると地主が買取り承諾しなくても、借地権者が借地権買取請求した時点で《売買契約が成立》します。建物=借地権買い取り請求は、地主に拒否権がない権利です。

建物買取請求権(借地権買取請求権)

建物買取請求権借地権買取請求権)とは、借地借家法13条に規定された強力な権利ですが、行使できる場合とできない場合があります。

借地期間終了時に、地主の更新拒絶正当事由が認められれば、更新できなかった借地権者に建物買取請求権が認められます。

借地借家法 – Wikipedia

但し、現行の借地借家法13条の要件として、実効性があまり無いといわれます。

建物買取請求権(借地権買取請求権)は、地主に借地権更新拒絶が簡単に許された旧法借地権以前の名残りです。旧借地法では買取請求権は絶対でした。

底地人の更新拒絶正当事由と借地権買取請求

借地期間が終了して、地主に借地権返還を所望する正当事由が認められたことで、更新しなかった時は建物買取請求権が認められます。

地主の土地賃借権契約継続拒絶の正当事由とは、地主(底地人)の方が借地人よりも、その土地を利用する必要性が強い、と裁判所が認めた時です。地主は更新拒絶できます。

例えば借地権者は他所に家やビル持ちなのに、地主が生活に困窮し家や土地を失い、その借地を返して貰う以外に他に住むアテがないとかが「必要性」になります。

更新拒絶し、借地権を消滅させ自己借地権として地主がその建物を自己で使用するなら建て替え費用とか勿体ないから、今ある建物を使いなさいということで借地権建物の買取を強制できます。

横浜中心街の空撮

借地借家法13条

借地借家法13条の効力によって、建物買取請求権は一定の時は継承されます。

借地借家法13条(建物買取請求権)

借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

借地権売買で土地上の建物を譲り受けた新借地人がいて、地主がその借地権の譲渡転貸を承認しない時】も、新借地人が地主に建物買取請求権を行使できます。借地権の地主買取が強制されるわけです。

こう書くと「借地権の譲渡は地主の承諾が必要じゃないの?なぜ、勝手に売買したのに地主が買取を強制されるの?」と思われるでしょう。

でも、このケースは〔借地権者が秘密で(勝手に)借地権建物を売却した〕というケースではないんです。やむを得ず、売却され公的に買取られたというお話。

競売落札者の借地権買取請求権

つまり旧借地権者が住宅ローンや事業資金融資で支払いに窮して、担保権の実行により借地権建物を差押えられ裁判所の競売にかけられた後の話です。

競売で借地建物を落札した人の借地権を地主が認めない時は、落札者は「公的な裁判所の競売で金出して落札したのに!承諾しないなら借地権(建物)を買取してください」と借地権買取請求権を主張できます。

裁判所の判決と競売でローン地獄の自宅が売れた。

借地権転貸で期間満了後、更新しない時

地主の承諾を得て借地権者が借地を転貸していたが、地主と借地権者の契約期間が満了して更新しなかった時も借地権買取請求権の行使が可能です。

これは借地の転貸がなかった時と同様に地主の正当事由により建物買取請求権が発生します。

参考例というだけで、現実にこの買取請求権が行使された借地転貸契約は聞いたことがありません。

建物買取請求権の要件

借地権建物買取請求権の要件外に当る拒否事由もあります。それは〔借地契約の合意解約〕の場合など理由あって買い取る合理性が見当たらない時、借地権者の債務不履行の時に限られます。

借地権者が、地代・賃料の不払いや土地の用法違反(無断増改築)等、義務を放棄した〈債務不履行〉をおこし貸地契約を解除した時、自分の義務を履行しないで契約解除となった者の建物買取請求権など不当であり認める必要がありません。

借地権者の債務不履行と借地権更新料

ただし、前回の更新時に借地権更新料を払わなかっただとか、今回の借地権更新時に更新料支払いでコジれたとかいうのは、また別の話になります。

また、増改築禁止特約があるのに増改築を履行したとしても、それが借地非訟による法律的な手続きを踏んだものなら、これまた債務不履行となりません。

借地借家法16条―借地権放棄特約無効

底地人としては、高付加価値なオフィスビルなど以外の借地建物、特に老朽化した店舗併用住宅などは、汎用性も低いため土地賃貸借契約の終了と同時に建物を解体撤去し更地返還し立退いて貰うのがベストです。

しかし、普通借地権において建物買取請求権は強力であり、借地借家法16条でも13条を補完して、〔借地権者・転借地権者に不利な特約は無効〕と規定しています。

これによって、契約時に「借地権者は契約期間満了時は建物買取請求権を放棄する」とか「契約終了後、借地権を放棄し借地権建物は貸主に無償譲渡する」みたいな借地権放棄の特約は無効となります。

借地借家法第16条

第16条(強行規定)第10条、第13条及び第14条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。

旧借地法の建物買取請求権の放棄特約

その昔、建物買取請求権の放棄特約を旧借地法が先回りして無効としたのは、築古建物でもその建築に投じた多額の費用を回収する機会を借地人に与える救済、建築資材などの資源保護などの目的がありました。

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よって、建物買取請求権の放棄が認められる時とは、上記の「借地権、『建物買取請求権の要件』外に当る拒否事由」に該当する借地権者の都合による契約解除の時に限ります。

この合意解除&債務不履行の時だけは、借地権者は建物を収去して土地明渡しの義務を底地人に負うことになります。

ただし、今時、こんな特約を普通借地権契約で契約書に入れる必要はありません。

つまり、建物買取請求権を認めたくなければ《シンプルに『定期借地権契約』で契約》すればいいからです。

借地権建物滅失と借地買取請求権の可否

同じような状態でも、借地買取請求権が行使【可能】か、【不可】かで別れるケースがあります。

それは、借地契約期間中に借地権建物が滅失し、借地人が地主の承諾なく建物を再建築した時です。

建替え解体費用を示す写真

再建築した借地建物の〈借地権価格の時価〉【借地買取可能】

〈滅失後の承諾ない再建築後〉、借地期間満了後に更新がなかった時は買取請求を〈行使できます〉。このケースでの借地権建物買取請求権価格は再建築した建物の〈時価〉です。

土地賃貸借契約の解約申入れせず期間満了【借地買取可能】

〈滅失後の承諾ない再建築後〉、地主が再建築を大目に見て、解約申し入れをせず期間満了し、更新がなかった時、買取請求を〈行使できます〉。

賃借権取引の解約申し入れをせず期間満了【借地買取不可】

〈滅失後の承諾ない再建築後〉、地主がこの再建築を認めず、地主からの解約申し入れで借地権が消滅した場合、買取請求権は行使できません。

借地権買取と解除

上記の通り、建物買取請求権に基づく借地権買取を要求させない特約は借地借家法により無効になります。

論法としては、借地借家法13条に反する特約を無効とする16条によって借地権買取という借地人固有の権利を放棄させる事が強行規定と判断されるものです。

最高裁判所第三小法廷昭和35年2月9日判決:借地人の債務不履行による土地賃貸借契約解除の場合には、借地人は借地法第4条第2項による建物等買取請求権を有しない。

借地借家法第13条判例|wikibooks

借地権買取を要求できないケースとは、土地賃借権を合意解除した場合です。旧借地法時代の判例でも、合意解除においては借地権買取を請求できないとしています。

借地権解除と借家人の借地建物からの退去

合意解除の場合でもその建物を借りて住んでいる借家人には、地主は明け渡しを期待できません。

合意解除して地主が建物の所有権を得ただけで、その建物には借家人の借家権が設定されているからです。相応の立ち退き料が必要になります。

ところが、借地人の債務不履行による借地権解除の場合、借地人が建物を撤去し土地を明け渡さなければならない事のトバッチリ的に借家人も借地上の建物から退去しなければならなくなります。

【参考】

立退料等の金銭の授受がない場合であっても、契約の解除条項に従って解除するものであることから、賃借人及び賃貸人のいずれも、課税関係は生じません。

(注) 建物の老朽化により借地権が消滅する場合、法人税の取扱いにおいては無償返還が認められています(法人税基本通達13-1-14(3))。

借地を無償で返還した場合|国税庁

建物買取請求権価格

建物買取請求権価格は「時価」が相当額とされています。この建物買い取り価格の時価は、建物自体および建物の付属物の評価額で充分です。買取価格は、建物と残存物という、物理的な「物の残存価値」の査定だけ行えば足ります。

つまり、借地権価格は建物買取請求権の買取価格に付加する必要はありません。

建物買取価格の時価に、借地権買取価格に当る価値は含まれず、よって建物買取価格に「市場相場」はありません。建物と付属物の老朽化や劣化の度合いで、中古品の査定扱いで買取価格を決めれば足ります。

ただし、買取価格の時価に相場はないものの、その借地が東京都内23区の人口密集地の繁華街だとかであれば、場所的利益が時価にプラスアルファで評価されます。

借地権価格&借地権割合≠建物買取価格

建物買取請求権における買取価格は、その地域の路線価や借地権割合に借地権買取価格である必要はありません。建物買取請求権の「時価」には、借地権価格が含まれていないからです。

建物買取請求権に応じる際の時価に借地権価格が含まれない理由は、買取請求権を行使する時点ではその建物はもう「借地権建物」ではなくなっていると評価する事もできるからです。

建物買取請求ができるのは、「更新拒絶による借地権の『消滅』時」か、「譲渡転貸の拒絶時」です。その時には、どちらも「借地権消滅=借地権価値0」になっています。

借地権が消滅していたら、借地権割合を考査する必要もなく、「借地権価格=0円」という事で、建物買取価格に借地権価格を反映させる必要がないのです。【借地権価格&借地権割合≠建物買取価格】の【≠】とは、そういう意味です。

買取請求権

建物買取請求権は法律上「形成権」と呼ばれ、借地権者から要求されれば地主には拒否権のない権利です。

旧借地法4条2項・借地借家法13条によって、建物の売買契約を自動的に成立させる「買取請求権」で、借地契約を更新できなくなった借地人の財産価値を保護してあげています。

しかし地主に拒否権がないからといって、建物買取請求権を無限に行使できるものではありません。買取請求権がある建物とは、借地契約時に定めた種類・構造でなければなりません。

土地価格を計算する写真。

借地権買取請求権の要件外建物

契約違反の借地権者は、建物買取請求権の要件要件外の拒否事由に当るという判例も数多く出ています。

例えば、最初は木造建物だったのに、災害による建物滅失という同情すべき事情はありつつもドサクサにまぎれて「借地契約の許容範囲外の建物に再建築」した借地人からの建物買取請求権には応じる必要がありません。

増改築禁止特約違反の建物など、地主に買い取りする義務はなく、契約違反によって再建築され既存不適格物件になった建物の買い取り請求は拒否できるという判例が出ています。違法建築物などは論外です。

造作買取請求権、エアコン

建物買取請求権価格に【相場】はなく、建物と「付属の残存物・造作物」を中古品として買取査定して価格決定すると前述しました。

この付属の残存物で造作買取請求権の対象となるのは、エアコン・空調やガス・上下水道・防火設備の他、門扉・塀・敷石などのエクステリアも含まれます。

造作買取請求権に含まれる要件としては、「建物の便益を客観的に上げる価値のある物」です。

造作買取請求権・買取価格の時価

よって、高機能のソーラーパネル・太陽光パネルなど太陽光発電設備も、建物機能の向上に資する造作物の要件に含まれます。

逆に、(単品売りできる絵画ならともかく)借地権者が趣味でインテリアにゴージャスに金をかけたとしても、それは造作物買取請求権の査定に含まれません。

エコ機能を完備した「スマートビル」なんかは、太陽光採光システム価格も、造作買取請求権の「買取価格の時価」に換算されたりして、かなりな高額買取案件になると予想されます。

(本文、終了)

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※追記:リフォームモニターは終了しました。※

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