建物譲渡特約付借地権契約書―自己借地権とデメリット、公正証書

建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権とは、借地権の存続期間を30年以上に設定し、契約終了後に底地人が建物を買取ることで、底地人と借地人が同一人になり、「民法179条=混同の規定-wikipedia」によって借地権が消滅する借地契約です。

普通借地権では、借地人が〈建物買取請求権=借地借家法13条―借地権買取請求権〉を行使した場合に限り、地主が借地権建物を買い取るのに対し、建物譲渡特約付借地権では借地借家法24条により最初から建物買取が定められています。

建物譲渡特約付借地権契約書≠公正証書

建物譲渡借地権は〈定期借地権〉の一種ですが、一般定期借地権は更地返還、建物譲渡借地権は地主が建物を買い取る約束で土地の賃貸借契約を結ぶ点が異なります。

一般の定期借地権は公正証書契約を必須要件にしていますが、建物譲渡特約付借地権契約書は公正証書不要です。もちろん実務上は契約書作成をすべきです。

買取契約のさい、細かく重要時呼応を説明する業者が一番。

建物譲渡特約付借地権と土地信託

建物譲渡特約付借地権は、「土地信託―信託銀行の終活支援、相続税土地活用事業・不動産信託」で紹介しました信託銀行の土地信託が〈借地借家法施行〉の際に法制化されたものです。

土地信託の場合、等価交換方式によって土地所有権の一部をを銀行に移転しますが、建物譲渡特約付借地権は借地権設定契約をするだけで底地の所有権は地主のままで済む分メリットがあります。

建物譲渡特約付借地権 デメリット

建物譲渡特約付借地権は平成4年7月31日施行であり、この借地権の最初の存続期間が終了するのは早くて平成34年であり、現在はこの法律制度の事実上のメリットデメリットは具体化されていません。

しかし、現時点でも想定できる建物譲渡特約付借地権デメリットはあります。所有権移転仮登記他たくさんの権利防衛が必要な借地権です。

建物譲渡特約付借地契約は、期間満了後、借地建物を地主が買い取ることで借地権売却と同様に借地人から地主に権利移転し、借地権を消滅させる契約です。

建物譲渡特約付借地権契約において、借地権者から底地人へ建物譲渡がされたら、当然、借地権は消滅します。

ところが、その建物に賃借人がいると借地権消滅時点で、底地人と建物賃借人との間で期間の【定めのない賃貸借】がされたとみなされます。

建物譲渡特約借地権と更新拒絶の正当事由

つまり借地建物を買い戻しても、借地借家法23条2項の規定により、居住者が建物への【居住継続】を望んだら、法定借家権によって、買取った建物の明け渡しを望めないのです。

自己借地権で土地の賃貸借契約を終らせても、建物のほうで法定借家権を行使されたらそれに縛られるという点が建物譲渡特約付借地権デメリットとして第一に想定されます。

このデメリットである借家契約を終了させるには、借地借家法28条に定める《更新拒絶の正当事由》が必要になり、もしかしたら正当事由を補完する〈立ち退き料〉支払いも要求されるかも知れません。

法定借家権

借地権者または借地上建物の賃借人の請求によって生じる建物の賃借権を法定借家権といいます。

法定借家権には〈普通建物賃貸借〉が成立したのと同じような効果があり、せっかく建物買取で自己借地権を取得しても、建物自体を明け渡させない限り、底地人が土地を自由に利用できません。

法定借家権が付着したままだと、買取代金を無駄に払った上、法定借地権があるのと変わらない状態では底地人の権利が侵害され過ぎということになります。

こうならないために、借地契約の際、重ねて合意を得ておく必要があります。

法定更新は借地権売買を困難にする。

法定借家権と定期建物賃貸借契約

法定借家権で成立する借家契約を定期建物賃貸借契約とさせなければなりません。これには建物賃借人との合意が必要になります。

この合意は公正証書等書面による契約で、契約更新がないことを定め、期間の満了により賃貸借が直ちに終了することを記載し説明し、得る必要があります。

定期建物賃貸借契約の判例には以下のようなものがあります。

定期建物賃貸借契約|RETIO

つまり、建物譲渡特約付借地権契約では、定義の上では建物譲渡特約付借地権契約書≠公正証書、つまり公正証書不要なのに、実体は公正証書がなければ怖くて提携できない借地契約と言えます。

自己借地権

また、建物譲渡特約付借地権は仮登記が必須です。法律上は別として、実際に借地契約を締結する際は、借地上に建てる建物に借地人(建物所有者)から地主への〈所有権移転仮登記〉をしておかないとこれも地主に危険が及びます。

建物譲渡特約付借地権は契約期間終了後に地主が建物を買取ることで【借地人⇔地主間の〈借地権売買〉が成立】し、地主が自己借地権により、借地権消滅するものです。

しかし、借地権者から第三者に建物の所有権が移転されても、この売買・譲渡を無効にできません。その場合、新たな所有者と借地契約または定期借地契約が発生することになるようです。

借地建物と建物譲渡特約付借地権契約書

借地権者が故意に勝手に売却しなくても、事業資金融資の担保として建物に抵当権を設定され、それを実行されたら、差押え競売に付されて、建物は第三者の手に渡ります。

これを防ぐために地主は、〝抵当権に優先〟する〈所有権移転仮登記〉を借地建物に、1番に設定登記しておかなければなりません。

所有権移転仮登記は、建物自体が竣工し登記されていなければできません。

その予備として、建物譲渡特約付借地権契約書の締結時、建物の期限付き売買予約契約をし、それに基づく仮登記を打ちます。

建物譲渡特約付借地権の評価

地主より先にもし銀行が建築資金融資などの担保に抵当権を入れてしまったらどうするのか???

前例がない分しかたありませんが、建物譲渡特約付借地権のデメリットは、このように「結果が分らない」ことが多過ぎ、な点もあげられます。

また、借地人が悪徳建築屋と組んで不渡りでも起こし、建築屋が建築資金の債権回収の先取り特権だとして建物に登記入れたらどうなるか?

などなど、建物譲渡特約付借地権はまだ不動産事件になっているのも聞いたことがなく、一般に評価が高いとはいえない借地権契約です。

果たして信託銀行の土地信託みたいな金融機関の共同事業以外、一般の事業者が利用しているのかも知りませんが、とかくデメリットの多い借地権契約です。

調査員イメージ

法定借地権・借地権売買問題点

建物譲渡特約付借地権は借地借家法において、「建物を『相当の価格』で買い取りする」事を定められています。これは時価・現況査定で借地上の建物を買取る事で自己借地権とする事です。

30年後の時価は契約時の建物から老朽化を想定できますが、契約途中に火災等で再建築の必要が出た時、買い取り資金が不足するほど高額なビルや、買い取りたくないような貧相な建物に建て替えされたら厄介です。

また建て替えにより法定借地権が発生する事へも気遣いが必要になります。

再建築する建物の構造・用途について細則を決め、増改築禁止特約に近い内容の制限をかけ、この借地権の問題点を賃貸借契約者らで解決しなければならない面倒さがあります。

建物譲渡特約付借地権とメリット

建物譲渡特約付借地権は、このように借地権売買の問題点の多い契約であるので、銀行や大手デベロッパーの土地信託契約以外の、普通の事業者との契約締結は予測できないリスクを孕み、回避した方がいい定期借地権の類だといえます。

銀行の信託契約から発展した起源のとおり、建物譲渡特約付借地権と土地信託はなじみやすく、地主が30年後に買取ってメリットのある「駅前のオフィスビル用」の契約などは安全と言えます。

建物譲渡借地権と事業用借地権

似たような形態の事業用定期借地権はロードサイドの広い面積で低層のファミレスなどの事業者向きであり、契約期間後は更地にしての借地権返還が保証されています。

これと対比すると建物譲渡特約付借地権のメリットを享受できるのは、やはり駅前オフィスビルを信託で建てる時に使う以外には見出せません。

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