借地権消滅と地代判例―借地権建物滅失と東京地方裁判所の判例変更

借地権消滅

借地権消滅は、期間満了や解約などで借地契約が終了後、更地返還や建物の明け渡しを受けて初めて完了します。

消滅|wikipedia

借地人の債務不履行を原因として相当の期間を定めて催告した上で、借地権解除をしても、土地上の占有が続いていると借地権消滅は未了ということになります。

借地権建物のデザイン

また、無断譲渡転貸借での借地権消滅が軽く許されると、事情を知らない借地権売却の相手方が損害を被る事になるため、借地権は消滅せず存続します。

現実的な借地権の消滅は、合意による借地権解消の後の明け渡しを受けてからと、土地収用など国家権力の介在で起ります。

土地の収用に伴い消滅する借地権|国税庁

土地への借地権登記と借地権消滅

よく聞く話に、「火事等の災害で借地権物件が消滅すると借地権が消滅する。借地権消滅を防ぐには、借地上に『借地権を公示する立て札』を立てろ」というのがあります。

話には聞くけど、実際に立て札が立っている火災現場を見たことがありません。

これは、借地権消滅の時効ウンヌンより、土地への借地権登記の代替に建物の保存登記をする習慣から、建物がないと更地として売却されたり二重に貸し地され、第三者が登場してくる危険を防ぐ効果のほうが高いでしょう。

賃借権の登記の要求|全日本不動産協会

借地上の建物朽廃により借地権消滅が成立する時

旧借地法時代の規定(借地法2条1項)では、借地上の建物が朽廃した時点で借地権消滅となりました。新・借地借家法においては、建物滅失と借地権の消滅はイコールではなく、解約申入れが要件となります。

旧借地法では建物の効用の喪失として使われた「朽廃」という規定を、借地借家法では建物滅失の中に含めました。8条にて申入れにより地上権借地権の放棄または解約による消滅が可能と規定しています。

借地借家法第8条(借地契約の更新後の建物の滅失による解約等)

契約の更新の後に建物の滅失があった場合においては、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。(以下は長いので省略)

借地借家法第8条|wikibooks

借地借家法施行の平成4年8月1日以前に締結した借地契約には、借地法が適用されます。

地代判例

「地代は払うけど、『賃上げ交渉』には絶対に応じない!」として、ガッチリと地代供託して頑として譲らない借地権者が、今の時代、増えたようです。

これは、ネットを活用して地代判例を勉強して、「自分で供託や借地権 裁判(借地非訟)ができる事」を借地権者が学び、実践できる環境になったからでしょう。

「東京地方裁判所判例検索」で地代判例関係のモノを調べると、訴訟件数の多さや都内の賃借権の借地代など色々な地代判例がでてきます。また、昔から現代まで時代の移り変わりによる判例変更も比較できます。

判例結果のイラスト

東京地方裁判所判例検索と借地借家法判例

裁判所サイトで、東京地方裁判所判例検索をすると、マンション騒音トラブルの裁判例から不良施工建築における業者の瑕疵担保責任判例の年毎の推移まで、借地借家法から道路法まで、すべての判例変更が比較できて面白いです。

ネットでこういう判例や訴状のサンプルを入手でき、供託その他の「訴訟の前哨戦」のような手続き(テクニック)が公開されているから、個人が思いどおりに権利主張の意思を通しやすく(法的手続きを執りやすく)なりました。

裁判所サイト内、裁判例情報ページ。ここで、判例の検索ができます。

東京地方裁判所判例検索

東京地方裁判所判例は、借地借家法判例でも他の法律でも、とにかく新しい法律事件が起こるのは東京都内が中心なので、新判例もバラエティ豊かであり、全国の地方裁判所もこれを注視しないわけにはいきません。

判例変更

弱者救済のために作られた旧法借地権をひきつぐ借地借家法は、憲法に保障された強い権利だから、弱者である借地人が「高い!」と言ったら、ある程度は甘受せざるを得ないようになっています。

「払わないんじゃない、金額に納得できないんだ!」という主張を補強するため地代を供託して、借地裁判に望めば今までは大概、借地人が勝つような地代判例がしばらく前まで出ていました。

ところがしばらく前、判例変更が地代判例のジャンルでもありました。

東京地方裁判所判例で、地主の経済状況も無視して著しく低価格な地代を供託し続ける借地人に、「ゴネ得を許さない」という風な、地主の事情も考えた新借地借家法らしい地代判例を出してくれています。

最高裁判例変更と旧借地法時代の裁判

現代の借地人も底地人(地主)も、先代である親が当事者だった旧借地法時代の、土地の賃借権の代金が信じられないくらい安かった流れを引きずっています。これは、借地人にはいいけれど底地人にとっては不都合です。

大げさにいうと、地方によっては、その土地に建つワンルームの中古アパート1室の家賃で、そのアパートの地代を賄えるくらい、地代は安いという状況が今でも変えられずにいる地域もあります。

これは、借地人にとってはボロアパート経営のリスクを減らしてくれるありがたい慣習ですが、土地を貸してる収入だけで食っている底地人には、将来に向けての不安要素でしかありません。

最高裁判例でも今までは借地借家法に基づき、借地人支持の判例が多かったですが、更新拒絶正当事由の判例の変更の他、今後は底地人の経済事情も慮った判例が増えるのではないかと期待されています。

日本-判例資料 | 国立国会図書館

国立国会図書館の判例資料を検索できるページです。

東京地方裁判所判例

東京地方裁判所判例を元に、借地人の地代供託すれば許される的な激安借地料保全にくさびを打つべく、各地方裁判所でも「信頼関係を破壊する借地人有利なの賃貸借契約は解除できる」という信頼関係破壊の法理にもとづく主旨の新しい地代判例を出しています。

親の代から借地権相続で続く借地人が、地主の度重なる地代増額請求権の意思表示に対し、前時代から続く激安な地代を供託し続けておりましたが、東京地方裁判所判例から広がった新しい地代判例でこれが否定されました。

地主が今まで請求してきた固定資産税に毛が生えた程度の格安地代からの値上げ分と〈供託してる元家賃〉の差額を未払い地代として1千万円以上、支払い催告し、支払わなければ借地権返還を要求すると意思表示した裁判で地主が勝訴したのです。

東京地方裁判所判例―借地権消滅

この訴訟は判決として、《借地人が著しく低額な賃料を十数年も供託し続け『地主との賃貸借契約の信頼関係』を破壊した》として、借地権消滅を認めてくれる判示をしました。

平成4年くらいの東京地方裁判所判例から始まって平成8年には最高裁でもこの判例を踏んで、判例変更となり全国的にこの地代判例を踏襲する風潮になりました。

今現在、固定資産税にも満たない格安な賃貸料金で甘んじている地主さんは、地元の法テラスにでも行って弁護士さんに相談したり、地代判例を検索しまくってみても悪くないと思われます。

不動産適正取引推進機構 | RETIO判例検索システム

賃貸借の成立・対抗力  地代の改定  賃貸人の義務違反  賃借人の義務違反

賃貸借判例の個別検索が可能です。

借地権建物滅失

借地借家法では火事など被災により借地権建物滅失の事態になっても、土地上に借地権を公示すれば2年は第三者に対抗でき、借地権消滅を免れます。

しかし震災など大規模災害に被災しては、地域全体が消滅したり避難勧告を受けたりで、被災者は借地権の公示をしている余裕がありません。

そこで借地借家法の特別法として、掲示板を借地上に公示せずとも建物滅失に対する借地権の対抗力を認める法律(借地借家特別措置法)ができました。

借地借家特別措置法と借地権建物滅失

借地借家特別措置法とは、正式名称を大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法といいます。

大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法

この借地借家特別措置法は、特定大規模災害の被災地で借地権建物滅失が生じた時、借地権の公示による対抗力を「3年」に延長しています。

また、政令で「特定大規模災害と指定された日」から半年は、借地権公示の立て札ナシでも借地権を主張できるとしています。

これは穿って見れば「被災地の格安な賃借権売買の代理人案件は、怪しいと思った方がいい」と考えることもできます。

罹災都市借地借家臨時処理法 廃止

借地借家特別措置法ができて、旧法・罹災都市借地借家臨時処理法は廃止されました。

戦後の復興支援に制定された罹災都市借地借家臨時処理法も大規模災害の借地人や借家人の保護に役立ってきましたが、東日本大震災では適用されませんでした。

現行の借地権、借家権の考え方と旧法はズレがあって見直すべきだとされてきたため、東日本大震災では「なじまない法律」とされ、新法施行後、廃止になったのです。

借地権建物滅失後に借地権消滅を免れることはできたものの、借地人に資力がない時に借地権譲渡による救済措置が取れないなど不備が多かったのが廃止原因のようです。

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※追記:リフォームモニターは終了しました。※

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