借地権売却―地上権借地権~土地賃借権の売却・譲渡【地上権売買】

借地権売却

借地権売却は、借地上に建つ建築物を売却(所有権移転)することで、借地上を利用する権利を売り渡すことを意味します。
借地権とは、土地賃借権地上権借地権をあわせた、土地を独占排他的に占有使用する独占権です。

借地権は賃借人のための土地の独占権であり、例え底地を所有し貸地している地主であっても、借地権付建物売買契約書の締結後には土地の使用権が借地権または地上権賃借権によって制限されます。

借地権売却とは、これほど強力な借地権という権利の売却で、借地権を買い受けた者が土地の独占権を持つことを意味します。よって借地権売却価格(借地権価格)は土地本体価格の6~9割近くの値段になります。

借地権売却における借地権割合と使用貸借

他人との貸地契約(借地権設定)をした後は、土地の本来の所有権者である地主でさえ「たまに使用させろ」なんて権利はありません。

自分も土地を使用したいなら、他人と借地契約を結ばずに土地を無料で貸し、使用貸借契約に徹するべきです。

借地割合は都会ほど高額取引される。

もしくは、駐車場経営や空き地のままでガマンするとかして、土地上に他人の法律的な権利を設定させないことが重要です。
一旦、借地権が設定されると、例えば売買価格1億円の土地なら7~9千万円が借地権の売却価値になってしまい、「底地」となったその土地自体の売却価値は3~1千万円まで下ってしまいます。
地代を1円でも徴収して土地を貸したらそこには借地権が生まれてしまうからです。

賃借権売買において借地権売却価格がその土地自体の半分以上の価値を持っていってしまう事を借地権割合といいます。

東京借地権売買相場―都内23区借地価格

借地権売買相場が高額な東京都内23区の借地権割合は、いまだ高率です。都内の借地権割合は土地本体に対し、8割以上の比率になります。
土地の更地価格が1億なら借地権割合8割の地域の借地権価格は8千万円という事です。反対に底地査定つまり地上権付き土地売買の土地価格は2千万円にしかなりません。

東京都内の借地権売却価格が土地代のほとんどを占めてしまうのは、土地自体の売買より借地権を売却するほうが手っ取り早いことから、東京では戦後からずっと土地自体より借地権の売買・転貸が数多く行われたことが要因です。
取引が多くなるほどに取引売買価格と借地権の権利価値が上昇し、土地本体の9割近い価値が借地権の価値に持っていかれてしまうからです。

借地売却

借地権はこのように他人の土地を借りているだけなのに土地自体(底地価格)よりも価値を持ってしまいます。

貸地をしている地主としては、借地権割合が8割の土地なら自分の土地に2割しか価値がなく、大半の権利を他人が所有している事になります。
見知らぬ第三者に借地権売却がされ続けられたら地主は堪りません。
借地売却は買い手が沢山いるのに、底地売却は借地権という強い権利のために、買い手が限定されてしまっている点も地主にとっては辛いところです。

また、旧法借地権による借地契約ならば、その借地期間は半永久的の可能性もあります。自分の土地なのに訳の分らない誰かに権利が移動し続けては地主の権利の侵害です。

よって、借地売却手続き賃借権譲渡)においては「地主の承諾が必要である」など、気軽に転売されない為の付帯義務が幾つか用意されています。

土地賃借権登記【借地権付建物売買登記】

借地権が存在している事を第三者に主張するには、本来なら借地権登記が必要です。しかし、土地賃借権登記地上権賃借権の登記)まですると地主にとって土地を明け渡したも同じになります。
よって地主は借地権登記・土地賃借権登記は拒否するのが普通です。

それに代わる借地権の明示方法として、借地借家法では、土地賃借権の登記がなくても借地上の建物に借地権者名義の所有権登記があれば、これを借地権として第三者に対抗できるようにしています。
建物の所有権移転登記は、土地への賃借権登記よりもハードルが低く、借地権売却のほとんどは、この借地権付建物売買によって実現してきました。

借地建物のイラスト

借地権付建物売買契約書

借地権付建物売買契約書借地権売買契約書と同義であり、建物を売買することで借地権売却を完了させるという意味の書類です。

借地権付建物売買契約書は建物売買の体裁はありながら、借地権売買地上権売買にあたる、実質的には地上権売買契約書のようなものです。

つまり、通常の借地権売買・地上権売買のとおり地主の承諾を得る必要があります。

借地権付建物売買契約書の締結に失敗のないよう、これに先駆け地主に賃借権譲渡承諾書への記名押印をお願いするほうがいいでしょう。

借地権付建物売買契約書による借地権売却

土地賃借権登記に代わる、土地上の借地権者名義に所有権登記された建物を〈借地権の付着した建築物〉として、借地権付建物と呼んでいます。

第三者への借地権売却は、借地権名義変更の登記に替えて借地権付建物の売買を行うことで完了します。

借地権付建物売買契約書を作成し、借地権付建物売買契約書に基づき建物の所有権移転登記を終らせれば、〈理論上〉は借地権売却手続きは成功した事となります。

地上権借地権

地上権借地権は物権であり、他人の土地を直接的に「所有したと同等の強力な支配権」で土地を排他的に占有使用できる土地賃借権です。

地上権借地権の権利者は、底地人の承諾なく第三者への地上権売買や転貸が可能です。

また、底地人には地上権者の登記に対する協力義務があります。つまり地上権借地権の設定は、名義は底地人のままでも、ほぼその土地を貰った様なものであるといえます。

地上権(民法 第265条)|wikibooks

地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

上記条文の工作物つまり公共的な電柱などの工事で地上権借地権が関係する事は多いですが、私的な土地取引においての地上権借地権、つまり「約定地上権」を設定するというのは余程の事態です。

個人的に関わった地上権売買―土地賃借権登記も、金銭貸借契約の保全措置として金融関係者が土地上に地上権借地権設定登記をしていたものでした。

地上権借地権(約定地上権)に対し、法定地上権は土地・建物の強制競売が行われ、土地と建物の所有者が異なることとなったとき、法律の規定により発生する地上権借地権です。

地上権借地権の地代は当事者の請求により裁判所が定めます。

地上権借地権売買と地上権設定登記、底地人の承諾

地上権借地権は借地権のうちでも強力なものなので、地上権借地権売買(謄本に地上権登記されてる借地権売却)は底地人の承諾なく自由にする事ができます。

過去に関わった約定の地上権借地権売買の現場においても、金融保全の地上権設定登記を債権回収に使うため、債権者(地上権者)は地上権借地権売買の当事者として、債務者である底地人は地上権売買登記の協力者として座しておりました。

土地賃借権

理論上は借地権付建物売買契約書で借地権売却が完了するとはいえ、土地賃借権である借地権売却には、その底地の賃貸人である地主の承諾が必要です。

賃借権譲渡承諾書を受理しての地主承諾手続きでは、土地賃借権の設定におよんで借地権譲渡承諾料が支払われます。賃借権譲渡承諾料は、借地権売却価格の5%~20%位で、これはその土地の立地環境により変わります。

譲渡承諾料が貰えるのだから、普通の地主は「新借地人」が過激派などでなければ、気持ちよく借地権売却による土地賃借権設定の承諾をするものです。

土地賃借権譲渡許可申立書|東京地方裁判所

地上権賃借権=賃借権譲渡承諾書による地上権賃借権売買

地上権借地権は自由に売買できますが、地上権賃借権の場合、地主の賃借権譲渡承諾書(借地権売却承諾書)がなければ、借地権購入者は借地権を主張する事ができません。

地上権賃借権は土地独占権ですから、その借地権売買について地主の承諾は必須で、承諾を得なければ借地権付建物売買契約書を締結しても、その借地権売却に効力はありません。

よって、承諾なしの借地権売却をしても地主が怒れば、借地権が主張できずに土地の明け渡しが必要になります。その防止に地主とのコミュニケーションと賃借権譲渡承諾書が必要なのです。

借地権者は底地人との日頃の交流を。

地上権賃借権

地上権賃借権の譲渡承諾手続きは、借地権付建物売買契約書を締結する前に地主に対して、直接アポイントや電話で連絡しつつ内容証明郵便で〈賃借権譲渡承諾書請求書〉の書面を通知して厳正に行う事が必要です。

地主としても借地権売却の相手方つまり新借地人がおかしな人や組織じゃなければ、地上権賃借権の譲渡承諾書にサインするだけで承諾料を貰える事は嬉しい「臨時収入」ですから断る理由がありません。

地上権賃借権譲渡を承諾するもしないも自由ですが、普通は承諾するものです。

地主が地上権賃借権の譲渡拒絶をしたい場合は、同じように〈地上権賃借権譲渡承諾拒否〉の通知をします。面倒がって手続きを怠ると「地上権賃借権譲渡を黙認承諾した」とみなされる危険があります。

借地権買取請求権と地上権賃借権売買

旧借地人が借地権更新料を一切払わずに法定更新だけでズルズル借地権利用を続けてきたり、借地代滞納を確信犯でするような者だったら、地主は承諾料を貰うより地上権賃借権の譲渡を立ち退き交渉の口実に利用したほうが利口です。

また、地主が地上権賃借権譲渡に応じてくれない理由として、地主がその土地を自分でどうしても使いたいなど、更新拒絶正当事由がある場合があります。

地主に更新拒絶正当事由が認められる場合、第三者への賃借権譲渡ができない代わりに、借地権者が地主に対し、建物買取請求権=借地借家法13条―借地権買取請求権を行使する事ができます。

地主としても早いうちに借地権売買に応じ借地権解消をしたほうが、地上権付き土地売買(底地売買)より、自己所有の土地建物の一括売却でき、高値売却できる可能性もあり、買取請求権を拒む事はないでしょう。

地上権賃借権・借地権売却と借地非訟

地代や更新料を未払いし続けたのでもなく、地主に切迫した更新拒絶正当事由があるわけでもなければ、借地人は地主の借地権売却許可に代わる手続きとして、裁判所に借地非訟手続きを申立てる事ができます。

借地非訟手続きによって、借地売却手続きに理由があると裁判所に認められれば、賃借権譲渡(借地権売却)は有効に成立し、新借地人が正規に借地権を行使できるようになります。

法定更新は借地権売買を困難にする。

借地権売却のまとめ【地上権賃借権】

当然ながら借地非訟手続きによる賃借権譲渡の確定においても、賃借権譲渡承諾料の支払いは必要になります。

借地権売却の相手方がどうしてもその土地を賃借してそこでビジネスを展開したいなら、借地承諾料が高額でも、地主への直接承諾で借地契約を成立させることに意義があるでしょう。

また、借地権者側にその土地から転居したい等の理由がある場合は、地主へ借地権付建物の売買による地上権借地権の売買を依頼するのがベターです。

もっとも、最近では地主側に建物売買に応じる資金余裕がなく、借地権者が折れて、無償での借地権返還を申し出るケースが増えているそうです。

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※追記:リフォームモニターは終了しました。※

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