借地契約書―賃貸借期間内解除や地代滞納を借地権契約書で予防

借地契約書

借地契約書には法律で定められた様式はありません。借地契約は貸主と借主の合意だけで成立する諾成契約です。

借地契約書は契約記録を残して、のちのトラブル解決の糸口とするため任意で締結するものです。法律上は借地権契約書なしでも問題ありません。

借地権建物のデザイン

但し、定期借地権(事業用/建物譲渡特約付)だけは、「公正証書等の書面による」と借地契約書の必要を名文化しています。これ以外は、借地借家法の中で借地契約書の規定はありません。

借地借家法―借地契約

借地契約の存続期間は、借家とは異なり、「期間の定めのない契約」は認められない。

借地契約|Wikipedia

借地権契約書がない≦無料の借地契約書

法律上、借地権契約書がない状態でも許されるなら、証拠として残す書面は、契約期日と貸主・借主の署名、土地賃貸借金額くらいの記載で足ります。

しかし、これだけだと借地契約期間の間に起こるトラブルに対し、どのように解決するか明確でなく、いちいち民法601条の規定によって争う事になり不合理です。

民法601条(賃貸借)

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

民法|法庫コム

不動産の特別法である借地借家法による適格な解決に導くために、この法律にもとづいた借地契約書を締結するのです。

ネット上の無料サイトにある借地契約書の雛形には多数の条項が設けられていて、あれで借地借家法によるトラブル処理の最低限はカバーできます。

借地契約書様式の雛形+特約条項

借地契約書様式の雛形にある一般条項は、全ての借地トラブルに対応していません。借地契約書がないよりは良いですが、問題解決の具体性に欠けます。

そこで個別のケースに応じ、借地借家法に合わせた特約条項が重要になります。

借地契約書の特約には、土地利用目的から、原状回復義務や賃料改定その他手数料の承諾、中途解約申し入れや債務不履行時のその違約金、増改築禁止特約や転貸(又貸し)、名義変更の禁止に関する事項を記載します。

現代はネット上に借地契約書式のひな形が無料でコピーペーストできるように配布されています。ご丁寧に借地契約時の収入印紙税や中途での借地契約解除に対する違約金などの解説付きのサイトもあります。

これら無料の契約書書式ダウンロードサイトから基本部分はコピペして、特約事項の所だけ、貸主・借主間で協議しながら変更し、強行規定に反しない範囲で合意による借地権契約書を締結することが重要です。

借地権契約書なし

借地契約では、借地人は土地を貸してと依頼する側・底地人(地主)はされる側です。借地借家法施行以前の借地契約書は、旧法借地法による借地権の権利が強力すぎて、地主に酷な面がありました。

よって平成4年8月1日以降、新法にもとづく借地権契約書により借地権を設定するようになりました。

しかし、借地権契約書の紛失や口頭契約によって「借地権契約書なし」で貸し地している旧法時代の借地契約はけっこう多いです。旧法借地契約は、更新し続ける限り有効です。

今だに旧法借地契約の影響で底地売買がままならず苦しんでいる地主がいます。

借地権契約書がない×更新拒絶正当事由

借地権契約において、借地人の窮状と「いつでも明け渡します」という口約束を信じて、権利金も取らず借地権契約書がない状況で貸し地した「ベンチャー養成魂」にあふれた人のいい底地人が昭和時代には沢山いました。

その底地人から相続で底地を取得した現在の底地人の多くは、人のいい先祖の借地契約によって、せっかく「土地持ち」なのに、イザというとき底地売却ができず資金繰りにヒーヒー言っていたりします。

また、土地を利用する必要(更新拒絶正当事由)が生じたので、明け渡しを求めても、ネットなどで借地契約について調べつくした借地人に四の五のいわれ借地権返還に応じてもらえない人も頻出しています。

借地契約解除

借地契約解除でゴネられるのは、借地人が小ずるいわりに商売が上手くいってなくて、更新時に借地権更新料なしで法定更新になり、地代滞納しているのを、底地人が大目にみてしまってるパターンの契約です。

知人の地主の借地権契約もそのようでした。ゴネる借地権者と借地契約解除の訴訟(または借地非訟手続き)になっても、借地借家法の規定に基づかれると、借地契約は解除できても相当の出費を強いられる、底地人には不利益な判決になります。

建替え解体費用を示す写真

地代滞納と借地契約解除の裁判結果

借地権解除の裁判では、底地人が地代滞納を許したりオマケした思いやりは、斟酌されません。

それどころか、弱者(借主)保護の法律の観点から逆説的な効果を生みます。借地裁判では、借地契約における借主の権利を保護することを重視します。

ゴネる借地人に限って「借地契約書の特約」にやたら詳しく、裁判しなくても旧法借地権の規定をもちだして、補償しないと土地明け渡しできないとサラッと要求します。

地主の貸し地ばなれ(嫌・借地契約)

ブラック地主の底地ビジネスとかいわれて、底地人(地主)が悪者にされている昨今、「若者の車離れ」よりも「地主の貸し地ばなれ(嫌・借地契約)」が起こっています。

まともに法律が機能する土地貸し商売は、駐車場経営か短期の事業用定期借地権契約くらいで、「他人に土地を貸すとロクな事がない」と多くの地主さんは思っています。

借地契約よりも使用貸借のほうがマシ

借地契約期間の満了にともない正当事由が認められる余地がありますが、高額な立ち退き料支払いの損失を収支計算しつつ借地権契約期間を振り返えると、「借地契約なんかせず市民公園にしとくとか使用貸借しといたほうがマシだった」と後悔することさえ。

祖父の世代に借地権契約書なし、権利金もなしで借地契約を結んでやったのがアダになり、借地相場以上の立ち退き料を要求する借地人の「小利口」さと先祖のバカ正直さにに腹がたつそうです。

借地契約期間

平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約期間については、「借地法」という旧法律が適用され、借地権も旧法借地権という強力な権利になります。

借地法の適用されている土地の借地契約期間は、借地上の建物が木造など非堅固建物の場合、原則30年となります。当事者の合意で30年以上で借地契約期間を定めた場合、合意した期間となります。

更新後の借地契約期間は20年が原則ですが、当事者合意で20年よりも長い期間を定めた場合には、合意期間が借地契約期間です。

借地上の建物が煉瓦造、鉄筋コンクリート造(RC造)といった堅固建物ならば借地契約の期間は原則60年、当事者合意で30年以上の借地契約期間を定めた場合、その合意した期間となります。

更新後の借地契約期間は30年が原則ですが、当事者合意で30年よりも長い期間を定めた場合、合意期間が借地契約期間です。

法定更新は借地権売買を困難にする。

借地借家法の借地契約期間+更新

平成4年8月1日以降、借地借家法による借地契約期間は旧法の借地契約期間と異なります。借地借家法の契約期間には、建物の構造が堅固か非堅固か、関係ありません。

借地借家法の借地契約期間は原則30年。ただし当事者合意により借地契約書で30年より長い期間を定めた場合には、合意期間となります。

更新後の借地契約期間は、最初の更新後は20年、2回目以降の更新後は10年が原則ですが、当事者合意により長い期間を定めた場合それに従います。

借地契約と建て替え承諾料・地代交渉

旧法では、借地権契約期間中でも建物朽廃は借地権消滅事由です。旧借地契約の借地権物件老朽化により、建て替え時期を迎えています。

こういう時、安い地代で貸していたり、地代延滞で悩まされていた底地人は、正当な建て替え承諾料を貰うべきです。建て替え承諾と同時に賃上げ交渉を要求しても構いません。

というより、このタイミングがもっとも底地人に都合のいい地代交渉ができる時だといえます。

また、無断での建て替えを看過すると、新築完成後は建て替えと更新を認めたことになり、借地契約解除の請求がしにくくなります。

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※追記:リフォームモニターは終了しました。※

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