遺産分割協議書の共有持分―ニトリ相続判決と相続比率の持分

遺産分割協議書 共有持分

遺産分割協議書の共有持分について後から持分割合が争われるのは、資産家遺族には必須のイベントです。

遺産分割協議の際には、協議を主導する代表者以外は、忙しさもあって自分で独自調査をせずに、提供される共有財産の内容と遺産分割案を思案するだけです。

後から何となく「はて?他にも財産なかったかな?」とか気がついても、基本的に遺産分割協議書の共有持分分割案は撤回できません。

遺産分割協議書の偽造、詐欺

遺産分割協議書の数字、相続比率がちょっと変わるだけで数百万円の損得があるのですから、紛糾しないわけがありません。

現金処分のイメージ写真。

遺産分割協議書に書かれた共有持分の相続比率が偽造だとして争われる事は、相続裁判では日常茶飯事です。

共有持分の持分割合争いで遺産分割協議書や遺言書が「偽造だ、詐欺だ」と騒ぐのは、対立相手を貶めるための下衆な訴訟技術として当り前であり、自由ですが、これが大企業の操業家の内紛だとニュースになります。

ニトリ相続判決

ニトリの相続判決では、「現社長似鳥昭雄氏により遺産分割協議書無効の偽造が行われた」と訴えた、他の相続人(兄弟・母親)の主張が破棄され、社長勝訴で相続裁判が閉幕しました。

ニトリ似鳥昭雄 |wikipediaより〕

ニトリの相続裁判は、1989年の創業者だった父親死亡後の相続において、遺産分割協議書の共有持分の采配に問題(偽造)があったと争われました。

89年の相続持分の分割協議では、現ニトリ社長が亡父の所有していたニトリ株式持分をすべて自分が相続し、残りの相続人たちには現金で1千万円づつを支払ったそうです。

この時の遺産分割協議書に記載した遺産分割割合(遺産相続割合)を、17年もたった2007年になって他の相続人たちが「偽造」だと騒いだ裁判でした。

遺産分割協議書の持分(父の遺産)の分配内容

89年当時、遺言書があれば遺言持分にしたがえましたが、それがなかったため、現ニトリ社長は遺産分割協議書で持分の分配について、相続人1人に対しニトリ株式ではなく現金1千万円を支払い、絶縁した母親には全不動産を渡す取決めをします。

そして、当時の相続人すべてがこれを合意・了承し、遺産分割協議書には共有財産の分配内容が記載されました。この遺産分割協議で一番損な役回り(リスク)を引き受けたのは、現ニトリ社長ではなかったか?と思います。

共有持分の分配―89年当時のニトリ株式と現金

共有持分(遺産)の分配において、東証一部上場の日本最大の家具通販企業となった今なら、ニトリ株と1千万円だったらニトリ株を選択します。

しかし、バブル経済の全盛だった89年、ニトリは札幌証券取引所に上場したばかりで株価も500円。

一般投資家にほとんど取引されない地方の証券取引所に上場してても「地方の名士」にはなれるけど、その株式の資産価値は低いです。

バブルの頃の相続であり、土地価格は上がり続けるのが当時の常識でしたから、一番「得した」と思ったのは、不動産全てを相続した母親でしょう。

そして、現金1千万円を受け取った他の相続人たちは、「現金でラッキー!」と思ったんじゃないでしょうか?

証券取引所|wikipedia

ホームトレードの時代の地方証券取引所の上場株

89年は株式もバブルでしたが、それは「東証一部上場株」だけです。ネット取引もなく、「ホームトレード」が画期的だった大昔、地方証券取引所の上場株なんて、バブル経済とは無関係でした。

ホームトレードというのは、「証券会社の店頭窓口に行かず電話で注文できる(それまでは店頭に行くか担当の外務員に頼まなきゃ注文できなかった)」という超レトロな株式取引です。

そんな時代、地方証券取引所に上場している株式は、その地方の証券会社の店頭窓口に行かなきゃ注文不可能でした。小さい証券会社じゃ、地元の銘柄さえ買えないことも・・・。

恐いのは、成り行きで「売り注文」を出しても「買い」が入るまで、買い注文を入れる人が現れるまで、ずっとずっと待たなきゃいけないことです。

そのうちに「創業者一族が自分の持分を売却してる」なんて知れたら、買い注文が入るのを待ってる間に株価は大暴落です。

地方証券取引所における創業一族の持分売却

現ニトリ社長だけが、父の遺志を継ぎ会社をでかくするぞ!と父の持分だった株式を相続したのでしょうが、その他の相続人らは「ホッ」としたんじゃないかと思います。

まさか将来、東証1部上場株に「大化け」するなんて思いもよらないし、ニトリの経営に関わってたわけでもない。

地方証券取引所に上場したばかりの株券なんて、1株500円の額面でも上記のとおり「500円の価値」もない、創業一族の持分売却と知れたら暴落して紙切れになりかねないシロモノです。

きっと現ニトリ社長が、株式も現金も不動産も仲良く共有し一緒に頑張ろう、と提案しても、「株なんか欲しくない!」と断ったんじゃないかと想像できます。

相続比率

相続比率は何もなければ法定相続分に従いますが、一人っ子相続人以外は各自の言い分もあるから親族で遺産分割協議をし、相続人間で共同名義になっている動産・不動産・預金・有価証券を考査して決定します。

ニトリの相続の場合、母親は「半分もらえる配偶者の権利」を行使して共有不動産をすべて相続し、現ニトリ社長と兄弟たちは、均等な相続比率で共有状態の株式と現金を分割する算段をしたわけです。

相続人の範囲と法定相続分|国税庁

土地価格を計算する写真。

相続比率均等に株式持分と現金を分けたら…

上場したばかりで亡くなった亡父の「個人の遺産内容」ですから、現金はニトリ株に変わっていたはずで、大した預金はなかったはずです。

もし、89年の相続時に相続比率にあわせて亡父の現金と株式持分を仲良く均等割りする形の共有持分処分の方法を選択してたら、1人1千万円に満たない現金と「暴落リスクヘッジのために長期で小分けして売却するしかないニトリ株」を分けあって、共倒れになっていた可能性があります。

相続比率を均等に株と現金をわけあっても、いつか資金繰りに困った時、地方取引所の上場株はカネになりません。

遺産分割協議書の偽造はなかったという判決

前述のとおり、暴落覚悟で大量に売り注文を出しても「買い」が入らなければどうしようもありませんし、株担保融資専門の金融会社も地方取引所の上場銘柄なんて扱いません。

兄弟たちはいずれ現ニトリ社長に株式持分を買取ってもらう必要があったわけで、それを地方取引所の株の「売れないこと」を察知していたから、提案された遺産分割協議書の共有分割の相続割合に納得して記名押印したんじゃないか?と想像します。

ニトリ相続判決の裁判官も同様に判断し、遺産分割協議書の偽造はなかったと判決したのじゃないかと思います。

遺産分割協議書無効の時効

遺産分割協議書無効取り消しに時効はありません。遺産分割協議書は撤回できません。

後から真正の相続人が現れたり、遺産分割協議外の相続財産が発見されたら別ですが、基本は撤回できません。

ましてニトリのような会社の創業家の遺産分割協議書ですから公正証書にしたにきまっています。

公正証書原本不実記載等罪|weblio辞書

公正証書をくつがえす事は不可能に近い芸当です。

ただし、遺産分割協議書の偽造=「詐欺」が立証された時は、遺産分割協議書の無効取り消しを訴える事ができます。

この場合の無効取り消しには時効がありません。裁判所も遺産分割協議書偽造の訴えを提訴されたら受け付けざるを得ず、ニトリ相続裁判が始まったわけです。

遺産分割協議書無効を証明できる偽造の証拠

いざ裁判になったら、遺産分割協議書無効を証明できる偽造の証拠がないのにグダグダの裁判を何度も提訴し、結局、ニトリ相続の判決は偽造を否定しました。

しかし、その間にマスコミを使って母親が息子である現社長のネガティブ報道を繰り広げたり、親族間の泥仕合を延々と続けていました。

遺産分割協議書では共有持分である相続財産の内容を自由にわけあえます。

ニトリ相続事件も、当時、現金と株式持分、不動産持分をみんなで仲良く均等な相続比率でわけあう事もできました。

しかし、17年も経って筋違いな相続訴訟を提訴してくる親族にニトリ株を保有させてたら、今の一部上場・通販トップのニトリはなかったでしょう。

株式持分の「代償分割」として1千万円の現金を他の相続人に支払い経営に参加させなかった現社長の行動は「英断」だったといえます。

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※追記:リフォームモニターは終了しました。※

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