旧法借地権・旧法賃借権とは―旧借地権の借地借家法へのメリット・デメリット

旧法借地権

旧法借地権とは、現在の借地借家法が施行される平成4年8月1日以前まで、借地借家の基準法であった旧借地権に基づいて締結された借地契約によって、土地賃借人が有する土地独占権を意味します。

旧法借地権によると、旧借地法の規定より短い期間の借地契約をした土地賃貸借当事者が賃借トラブルになり裁判に至れば、その貸借期間は〔借地法によって定めなかったものとみなす〕と、判例により解されていました。

東京都中心部の俯瞰写真。

旧法借地権の借地期間と旧借地法によるデメリット

旧法借地権契約で「借地期間20年」と合意契約しても、裁判で旧借地法を引用されると20年で終了できた借地期間が、旧借地法の法定期間である30年に引き延ばされていました。

これが旧法借地権の行き過ぎた「借地権者過保護」の法律運用のデメリットでした。

旧法借地権の権利主張が裁判で持ち出されると、旧借地法の後押しで借地権利が底地人(地主)に強要され、底地人の被害が著しい事が明白だと認識されるまでは、平成時代に入るまでの長い時間がかかりました。

借地借家法25条―旧法借地権の改正のメリット

新法としての借地借家法において、借地借家法3条の法定存続期間より短い借地契約期間を定める時の例外規定を、同法25条に一時使用目的の借地権という新型の借地権契約として設定しました。

この一時使用の借地権により、旧法借地権の「強権」におびえ貸地契約を控えていた底地人も、新たな賃借権売買ができるメリットが受けられるようなりました。

ただし、旧法借地権時代の旧借地法契約のまま「短期借地の約束が借地人に主導され『法定更新』になって現在に至る」借地契約は、今だに、旧借地法に借地人が保護されています。

旧法借地権時代の借地人過保護の緩和の流れ

現在では、嫌・普通借地権の流れで、定期借地権住宅を立てる約束でなければ貸し地しない地主が増えました。旧法借地権時代の旧借地法の借地人過保護のインパクトは大きいのです。

しかし、同じ旧法借地権時代の期間にも、昭和初期の借地人に超甘かった頃に比べ、昭和後期になるに従い、少しづつ借地人過保護の状態が緩和され、底地人にはメリットも生まれ始めました。

権利金返還義務―借地人びいきだった旧法借地権

借地期間途中で借地契約が終了した場合、旧法借地権の昭和6年6月17日大審院判決では、「借地権利金は場合により返還すべき」という借地人に大甘な判旨がでて、これがしばらく続きました。

旧借地法判例の明け渡し(建物収去土地明渡事件)の標準に、「権利金は返すこと」というありえない底地人デメリットが搭載されたのです。

しかし「これはおかしい」と、気鋭の底地人側弁護士たちが頑張って、権利金を「場所的利益の対価」と認める判例を作り、返還義務はないとする状況を旧法借地権時代の中で構築していきました。

判例結果のイラスト

旧法賃借権とは

旧法賃借権とは、「借地借家法施行以前=平成4年7月31日までの間」に契約された旧借家法・旧借地法を根拠とする建物賃貸借契約・土地賃貸借契約により発生した旧法由来の強力な賃借権を意味します。

旧法賃借権とは、相当の意味合いで借地人・借家人寄りの賃貸借判例を築いてきた根源であり、貸主の財産をおびやかしかねない偏った権利であるといえます。

旧法賃借権のうち、旧借地法による旧法借地権の強権的な借地人保護、底地人のデメリットになる法律体制は以上のとおりです。

旧法賃借権、つまり新賃借権法による借地借家法が施行される平成4年7月31日までの間に締結された、借家契約・借地契約のほとんどは借主メリット本位の契約です。

旧借家法の運用は、借家人過保護により真っ当な「建物賃貸借の市場」を阻害してきた旧法賃借権の弊害の典型例と言えます。

旧法賃借権と立ち退き料・明け渡し規定

旧法賃借権の根拠となる旧借家法には、立ち退き料に関する規定はありませんでした。民法の賃貸借契約の規定(民法601条、622条)においても立ち退き料の指定は0です。

これが定められたのは、借地借家法における「財産上の給付をする旨の申出」という文言が初めての立ち退き料キーワードになります。

といっても、旧法賃借権時代は代償金なしで明け渡しが行われていたわけではありません。

旧法賃借権時代は法律に明文化された現・借地借家法時代よりも、もっと借家人に都合のいい判例に偏って賃貸借契約の終了がまかり通っていました。

現借地借家法よりデメリットな旧法賃借権借家法

旧法賃借権においては、まず家主が立ち退き料支払いを前提とした家屋の立ち退きを求めて、初めて立ち退き料と引き換えに明け渡し請求を認容する「立ち退き料ありき」が通例でした。

旧法賃借権の頃、旧借家法にも立ち退き料の規定がなかったのに、現借地借家法よりも借家人に都合のいい金銭授受が行われてきた理由は、旧借家法の解約申入れ条項がネックのようです。

旧法賃借権の借家契約では、家主の解約申入れに対し「その他の正当事由」が必要とされ、この正当事由について、金銭が正当事由と見なされ、お金で解決されてきました。これは現在も同じです。

旧賃借権では、正当事由などどこを探しても見当たらないので、金銭によりこれを代替するという慣習が定着しています。これは家主にとってはデメリットです。

旧借家権のこの金銭解決は、旧法賃借権においては「家主が明け渡しで受け取る利益と借家人が明け渡しで受ける損害を調整し解消する」と考えられ、現在までこれが踏襲されています。

借地割合は都会ほど高額取引される。

旧借地権

旧借地権とは、現行の借地借家法に基づく借地権に対する、旧法借地権(旧借地法)時代の借地人に絶対有利な借地権契約を意味します。

旧借地権が適用されている借地権物件は、その土地上に旧借地権が持つ強力な独占権を有し、土地収益を支配できます。

よって現在でも、借地借家法施行以前に建てられた、旧借地権による借地建物の売買、つまり借地権売却の価格が土地本体代金に近い高額取引がなされています。

借地権とは、建物所有目的の地上権・賃借権ですが、旧借地権は現在よりもっと「地上権的性質=土地支配」が強かった権利だといえます。

旧借地権(旧借地法)の更新拒絶正当事由

旧借地権(旧借地法)においては、期間の定めがないと判断されると、マンション・ビルなどの堅固建物ならば60年、その他の建物も30年の借地権利が旧借地法2条1項によって付与されています。

さらに旧借地権においては、更新拒絶正当事由の規定がなく、地主が自分で土地を使用する場合に限り立ち退き料を積んで遅滞なく異議を述べるべきと、旧借地法に規定されていました。

地主が異議(更新拒否理由)を述べないと、旧借地権は法定更新され、以前と同条件で借地権が続くと旧借地法6条に規定されていました。

旧法借地権・旧法賃借権のまとめ

以上のように旧法借地権(旧法賃借権の借家権も含め)の物件は、今だに土地を支配できる権利です。だからこそ借地権買取請求権は、買い手より売り手が「強気」で高値取引なのです。

超老朽建物が高値で取引されるのは、その建物は価値0円でも、その建物に付着する借地権価格が高額だからです。これは、旧法借地権時代の旧借地権契約が今でも強権力を持っている証です。

旧法借地権旧法賃借権の物件が、老朽化にも関わらず高額取引されている理由はここにあります。

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※追記:リフォームモニターは終了しました。※

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