共有持分競売で不動産の権利買取―相続対策の共有名義競売

共有持分競売

共有持分競売とは、相続共有名義の不動産所有者(=共有者)が複数いるうち、誰がが借金トラブルで資産を差押えられ、その者の共有持分が裁判所の競売にかけられた状態を意味します。
また夫婦が共有持分で所有する自宅があって、片方が多重債務に陥り自己破産した場合にも、清算手続きとして破産者の所有不動産の共有持分は競売されます。

共有持分の競売を説明する際、複数の登場人物の持分が競売される相続の現場を想定するより、主人公が2人だけの夫婦共有財産の持分競売について論じるほうがシンプルなので、以下は夫婦の共有持分競売について記述します。

借金~破産から共有持分競売に

夫婦が共有持分2分の1づつで所有する家があったとします。こういう場合、住宅ローンも共有名義でそれぞれローンを支払い負担していて、住宅ローンの借金については対等の債務者です。

住まいで悩む夫婦の写真

しかし、夫婦のうち共有持分競売にかけられるのは、たいがい夫のほうです。
資金繰りが悪くなって、信販やサラ金・街金で新たな借入を起こし、その返済のための借金スパイラルにハマるのは男のほうが先になります。主婦は収入面からも「借入限度額」が少ないから、2人で借金しても自己破産するほど借財が膨らむのは夫なのです。

かくして、夫は債務名義により差押を受け、または自己破産により財産である共有持分を競売に掛けられます。
自己破産すると、その財産は現金化され抵当権者への配当に回されます。そして夫の不動産持分も競売という形の換価手続きに付されます。

裁判所の共有持分競売物件

ここ(差押、競売)までくるには、住宅ローン返済の督促があり、また共有不動産の抵当権者から妻に、「夫の共有持分を購入するか?」という打診もあるはずです。

ここで妻が債権者へ夫の債務弁済をし、抵当権抹消請求できれば、競売は阻止できます。しかし、夫が自己破産する状況の家庭で妻にその資力はほぼありません。
妻にその資金があれば、夫の共有持分買取をおこない持分全取得することで単独持分にすることができます。
単独名義不動産にすれば、破産した夫との【離活】にともなうマイホームの任意売却も簡単にできます。

しかし、これが無理だから、共有名義の自己破産裁判が活況であって、結果として、裁判所の競売流れに一戸建てやマンションの共有持分競売物件があふれているのです。

共有名義の競売

bit競売(裁判所競売サイト)に掲載されている不動産の何割かが共有持分の競売案件です。
ファミリータイプの分譲マンション競売はほとんど前述の夫婦どちらかが自己破産や差押を受け、強制競売となったケースです。
(【bit.sikkou.jp】を検索し、地元の競売物件をチェックしてみると、PDFファイルの「競売3点セット」で、その物件が共有持分競売かどうかが分ります)

さて、1つの家が競売になっても、それが共有持分競売であれば、競売にかけられていない共有者(例えば妻)の持分は、いちおう安泰です。
夫の持分を落札した新しい共有者から妻が明け渡し請求を受けることもありません。

……というと、夫が自己破産した場合、【夫の単独名義なら夫婦ともども立退き必須なのに、共有名義だと妻は『残りの持分』を主張して家に住み続けられるんだ?!】と勘違いしてしまう人もいます。
しかし、そんな甘い話はありません。

共有持分の現金化目的の訴訟

落札者は新たな共有持分権を盾に、残りの共有持分の買取、もしくは自分が落札した共有持分を「買戻さないか?」という交渉を求めてきます。
夫が自己破産した妻に、落札持分を買戻す財力はありません。基本的には相手に共有持分を売却し、その物件を手放し、さっさと元わが家から立ち退くことが賢明な選択です。

これを拒み続けると、その落札者から共有物分割請求訴訟を提訴されることになります。
これは、民法256条1項に基づく、共有持分落札者の正当な権利です。
共有物分割請求には、土地を複数に分割所有する【現物分割】、1人が他の持分を買取る【価格賠償】、そして全共有持分を一括売却し代金を分け合う【代金分割】といった方法があります。

土地以外の不動産、つまり建物は2つに分けることが困難ですから「現物分割」は無理。一括売却に協力する「代金分割」も落札者との関係では現実的ではありません。
交渉で、落札者が価格賠償するという申出を断ると、落札者は民法258条1項に基づき、この共有分割を裁判所に対して請求できることになっています。

裁判所の判決

これが共有持分競売訴訟のシメです。つまり、落札者は自分の落札した持分と、残りの共有者(破産した男の妻)の持分を一括競売してもらうことを裁判所に再請求するわけです。
せっかく落札して自己所有にした共有持分を裁判所でまた競売にかけると、2重に共有持分売却をすることになって、落札者は損になりそうな感じですが、2度目の共有持分競売で自分の落札代金を回収できるのでリスクはありません。

持分競落者との競売前交渉

対して、残った共有持分で所有権を主張して物件を占有していた妻の方は、この共有物分割請求に基づく競売では、【自分の持分】も競売にかけられる当事者になります。
自分の持分も含む全ての共有持分が、新たな落札者に競落されれば、妻は完全な無権利状態で居座っているだけの人になります。明け渡しの催告には応じなければなりません。

全ての共有持分を有することになった最新の落札者から立ち退き請求をかけられ、1円にもならずに家を追われることになります。

よって、夫婦の共有持分が競売にかけられた場合、最初の競落で夫の持分を落札した者が交渉してきたら、立ち退き料とかのイロをつけてもらって、素直に交渉に応じてサッサと自分の共有持分を売り渡すことが、一番、メリットのある選択肢だといえます。

(本文、終了)

★☆★東京~神奈川で物件を探しています。★☆★

gold

※追記:リフォームモニターは終了しました。※

リフォームのご質問・ご相談は、facebookのメッセージから受け付けます。 急ぎで作ったメッセージやりとり専用ページです。→【リフォームQ|facebook】 物件売却希望の東京~神奈川以外のかたは、今後は facebook リフォームQ へお願いします。 (2017/01/24)