鎌倉逗子空き家条例=埋蔵文化財包蔵地・市街化調整区域の空き家

鎌倉市・逗子市には、空き家対策条例がありません。空き家バンクは役に立たず、古都として観光エリアになっている地域以外は空き家率が高まっているため、対策条例の施行が求められているようです。

鎌倉空き家・逗子空き家

神奈川県内で空き家率が高いのは、1位湯河原、2位逗子市です。
【逗子】って、【厨子鎌倉】っていう位の観光スポットじゃないの?なんで逗子市の空き家率が高いの?って不思議な感じがします。
空き家率は、「湯河原町=32.8%」、「逗子市=17.8%」、「鎌倉市=9.3%」です。
価格比較サイトカカクコムの運営するスマイティという住宅関連サイトによる【神奈川の空き家率ランキング】の数値です。

神奈川の空き家率ランキング|スマイティ

(参考:神奈川県)
住宅・土地統計調査 調査の概要|神奈川県
市町村別空き家数と空き家率|神奈川県

因みに鎌倉市も、観光エリアに集中した、空き家活用による飲食店出店や【airbnbゲストハウス経営の賃貸ニーズ】によって、空き家率が抑えられているだけです。
鎌倉市の住宅エリアは、明治時代からの「日本屈指の超高級住宅街」だったのが、高齢化で人が減り、金持ち仕様の敷地間取りが多く、100円ショップやスーパーも遠くて若い世代が住みにくいので、逗子市と同じくらい、かなり空き家化しているのです。

江の島電鉄と相模湾の写真。

厨子鎌倉の高級住宅街に空き家を相続したような人は、その人自身も社会的地位が高かったり資金的余裕があることが多いようです。
同じような【観光地隣接地域】でも、雑多な収入層のエリアなら「親から相続した空き家で自分で『airbnb民泊』やって稼ごう」となりますが、厨子鎌倉の富裕層の相続人はこういう発想にならないでしょう。
よって、鎌倉市や逗子市に空き家を抱えている多くの人は、空き家巡回サービスを活用する等して、空き家を維持しています。
鎌倉などは線路一本隔てただけで、南側の観光地エリアは、観光・飲食サービス業者に賃貸して空き家をプラスの財産にできるのに、線路の北側の金持ちエリアは留守宅管理サービスに毎月お金を払わなければならないマイナス財産になってしまうようです。

鎌倉市は東京都内や横浜・川崎等の大都市からアクセスが良く、訪日外国人旅行者の観光しやすさは国内随一の「古都」です。
よって、本来ならホテル旅館といった宿泊施設がもっとあっていいのです。しかし、鎌倉・逗子~藤沢市は鎌倉時代の首都だった頃の名残りの埋蔵文化財包蔵地です。
開発しようとすると、重要文化財や遺跡が発見され、工事が進みません。つまり、高級住宅地ではあるが「超大規模開発」は、文化財保護法に阻止されている地域です。
よって、正規の業者がホテルや旅館といった合法的な宿泊施設を作れずにいて、その隙間・グレーゾーンをヨソからきた人たちが地元の築古物件を借り上げて「airbnb民泊」経営することで埋めているわけです。

古都鎌倉は最近のスイーツブームにより、若い女性観光客も爆発的に増えています。
東京都民や地元・神奈川県民だけでなく、東海道本線を使い「JR大船駅」にアクセスの良い静岡県東部(熱海~三島~伊豆地方)から、または、湘南新宿ラインや京浜東北線を使って埼玉県の大宮方面から、日曜祝日にすごい数の女子グループや若い男女カップルが押し寄せています。
これに目を付けた都内のスイーツショップの多くが、鎌倉の観光通りの空き家を買い取ったり、賃貸して古民家風リフォームを施し、「鎌倉支店」をオープンさせています。

鎌倉市の景観地区と鎌倉市都市景観条例

古都鎌倉と資金力のある都内のショップが、鎌倉・逗子に店を出す時、宣伝効果のあるファッショナブルな新築建物を建てずに老朽化した中古空き家を活用します。なぜかというと、鎌倉のような古都は「景観地区」に指定されているからです。

鎌倉市内には鎌倉景観地区と北鎌倉景観地区があります。鎌倉地区は鎌倉駅周辺の鎌倉市雪ノ下一丁目、北鎌倉地区は北鎌倉駅に近く鎌倉街道・横須賀線が並行して通る鎌倉市山ノ内が景観地区に指定されています。

鎌倉市内の景観地区では、建築物の高さは15m(第一種低層住居専用地域の住宅は10m)以下とされ、建物の外壁の色に原色や派手な色は使用できない規制があります。

景観地区とは?

景観地区とは、景観法に規定される都市計画法上の地域地区で、〈旧美観地区〉と呼ばれるエリアです。

景観地区は、都市計画区域・準都市計画区域内で設定されます。また条例を制定すれば、その他地域でも〈準景観地区〉を設定できます。

美観地区と景観地区

旧美観地区は古来の美観を維持する目的だったのに対し、景観地区は将来の景観形成を計るためにも設定できます。

景観地区では自治体が建築物のデザインや色、建物の高さ、敷地面積、壁面の位置を規制できます。

条例・命令違反の場合は工事停止・是正命令・罰則が与えられます。

景観地区で建築物を建てるには、市町村長の認定を受けなければなりません。

神奈川県内の景観地区

神奈川県内では、藤沢市と鎌倉市に景観地区が策定されています。

鎌倉市/景観地区

景観形成地区|藤沢市

藤沢市の景観地区

藤沢市では、江の島と湘南シークロスがそれぞれ、江の島景観地区、湘南C-X(シークロス)景観地区として指定されています。

〈江ノ島〉はサザンの歌の影響で、神奈川県外の人には茅ヶ崎にあると思われがちですが、藤沢市の湘南海岸から突き出た陸続きの島です。

江ノ島景観地区は、小田急江ノ島線片瀬江ノ島駅・江ノ島電鉄江ノ島駅・湘南モノレール江の島線湘南江の島駅等の交通アクセスがあります。

藤沢市都市景観条例

湘南シークロスとは、神奈川県藤沢市にあるJR東海道本線辻堂駅北口周辺の再開発地域(藤沢市辻堂神台一丁目および二丁目)の名称です。

藤沢市の景観地区内では、景観法第63条に基づく認定、藤沢市都市景観条例第38条に基づく認定、第48条に基づく許可を受ける必要があります。

埋蔵文化財包蔵地

埋蔵文化財包蔵地または周知の埋蔵文化財包蔵地とは、【遺跡地図】に記載され、住宅建築や宅地造成、土木工事を行う際、事前に文化財保護法第93条に基づく申請をしなければならない土地を意味します。
遺跡地図とは、遺跡のある区域を明示した地図です。
遺跡とは、昔の建築物や跡地、財産の中で、歴史的事件や由緒があると見なされ保存する価値のある場所を意味します。

遺跡のうち、住居跡・墳墓・貝塚・城跡といった建築物・土木構造物・施設など不動産に当たるものを〈遺構〉と呼びます。

それに、遺物といって、石器土器等の道具・装飾品・獣骨・人骨など動産を加えて、まとめて遺跡と呼んでいます。
その遺跡すなわち埋蔵文化財包蔵地の所在地・面積・時代・種類と出土品の内訳を記載した台帳を意味します。

遺跡台帳と遺跡地図は、文化財保護法に基づき市町村の教育委員会が作成します。

神奈川県内の自治体では、遺跡分布地図として各市町村が自地域内の遺跡所在地などをインターネット上に公開しています。

鎌倉市には、この埋蔵文化財包蔵地が多いため、なかなか大規模開発が進みませんでした。
しかし、埋蔵文化財包蔵地がたくさん存在するおかげで、逗子鎌倉エリアが古都の趣をたたえた高級住宅街として現存できていることは重要です。

埋蔵文化財包蔵地を指定し、埋蔵文化財に保護するため、または厨子鎌倉を歴史ある古都として守り続けるための法律を古都保存法といいます。
古都保存法とは、正式名称を「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」といいます。

古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法

目的は歴史的風土地区の指定による保存です。歴史的風土保存地区では、開発規制と土地所有者への補償が行われます。

地区内では、建築物の新築・改築・増築や、宅地造成など土地の形質の変更、木竹の伐採を行う場合、知事への届け出が必要です。

更に規制される、歴史的風土特別保存地区では、建築物の色彩や屋外広告の設置にも知事の許可が必要です。

古都保存法・埋蔵文化財包蔵地=鎌倉・逗子

神奈川県内では鎌倉市と逗子市の観光地域が、古都保存法により「鎌倉市および逗子市歴史的風土保存区域」に指定されています。

鎌倉市内では、朝比奈、八幡宮、長谷極楽寺、山ノ内、大町材木座地区(逗子市の区域含む)が、歴史的風土保存区域に指定されています。

この区域の内、朝比奈切通し、浄妙寺、瑞泉寺、護良親王墓、永福寺跡、建長寺・浄智寺・八幡宮、寿福寺、長谷観音、極楽寺、稲村ヶ崎、円覚寺、妙本寺衣張山、名越切通し、等の名所・名跡が歴史的風土特別保存地区に指定されています。

古都保存法は、鎌倉市の市民らによる住環境保全運動を契機に、逗子市や京都・奈良などの歴史的建造物などが残されている地域で保存のための法律制定のニーズが喚起されたといわれています。

そのような日本の歴史を海外にアピールする為にも、鎌倉の美観を維持することが重要で、複数の法律によって保護されています。

また、今だ多く残る遺跡の保護なども重要な県や市、国の政策です。

麻生区のブロッコリーの葉

市街化調整区域と鎌倉

埋蔵文化財包蔵地は、住宅街ではない市街化調整区域を開発しようとしたら、遺跡が出てきて指定された(開発許可は棚上げされた)という場合が多いです。
鎌倉や逗子といった古都でなくても、アラフィフ世代なら子供のころ畑をいじってたら土器のカケラが出てきたとか、神社や寺で遊んでたら日本刀の鍔を見つけたという思い出を持っている人も多いはずです。
子供にとっては宝物ですが、デベロッパーにとっては埋蔵文化財はやっかいな存在です。

開発許可とは、都市計画法にもとづき、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分し、市街化区域で開発・建築を行う業者に、都道府県知事の開発許可を義務づけた制度です。

鎌倉なんかは現在の鎌倉大仏を始めとした寺社仏閣のある観光エリアつまり市街化区域を、三方の山(森林)つまり市街化調整区域に囲まれ前方は相模湾、という【厳重な守りの要塞都市】として、鎌倉幕府がおかれたわけです。
今でも鎌倉山をはじめとした埋蔵文化財包蔵地である市街化調整区域では、多くの文化財が出土することがあるといいます。

開発許可制度は、都市周辺の土地を強引に活用してアパート・マンションや分譲住宅地が〈乱開発〉されるのを防止することが目的です。

〔都市計画の法律〕

〔行政のプラン〕

厨子鎌倉の場合、古都保存法に基づいて埋蔵文化財包蔵地に指定された場所であるため、密集市街地ではなく閑静な高級住宅地ですが、古都保存法の開発抑制によって進化が遅れたという面もあります。

計画的な市街化形成のため、都市計画区域内の開発には排水ほか必要な施設の整備、道路や公園、防災設備の設置も義務付けられています。

市街化区域では1,000平米を超える土地の区画形質の変更を行う宅地開発は、都道府県知事の許可を得なければなりません。

この宅地開発には、道路・水路の区画変更や切土・盛土等による造成が含まれます。

また、宅地造成等規正法の改正(宅造法―宅地造成工事規制区域の切土・盛土と宅地造成等規制法)により、市街化調整区域の開発は禁止されました。

宅地造成等規制法 – 国土交通省

神奈川県では、開発許可に関して県ホームページ内に特設ページを設け、申請手続きなどについて支援をしています。

鎌倉逗子空き家条例なし【空き家バンク】

鎌倉逗子には空き家条例がありません。代わりに鎌倉市には(民間運営かなにかの)空き家バンクがあります。
しかし、鎌倉に限らず空き家バンクで成功したという事例はありません。公的な空き家バンクを利用しようという空き家オーナーも空き家購入希望者もほとんどいないからです。
鎌倉の民営の空き家バンクも情報募集が止まっているようです。

神奈川県内では、鎌倉市の他にも「小田原市、南足柄市、足柄郡松田町、横須賀市、箱根町、愛川町、山北町、真鶴町、清川村」に空き家バンクが設置されていますが、どこも泣かず飛ばずです。

対して、同じ神奈川の横須賀市では、空き家対策法に基づく空き家条例代執行で大きく報道されたことで、空き家オーナーに対する圧力となって、今後、空き家化に歯止めがかかる可能性があります。
そういった成功例を精査してか、このところ鎌倉市議会でも空き家条例立案の動きが出てきているようです。

【鎌倉市議会での空き家条例を検討している状況の記録】

「鎌倉市空き家実態調査」の実施について|鎌倉市

鎌倉市では、市内の空き家の維持管理等にかかる諸問題を把握し、今後の施策形成の基礎資料とすることを目的とし、市内にある戸建て住宅(平成27年10月現在)を対象に、「空き家実態調査」を実施いたしました。

神奈川県と鎌倉市の条例・規則等|鎌倉市

所属課室:都市調整部建築指導課 鎌倉市御成町18-10 本庁舎3階

ただし、条例を定めたページは削除されていて見ることができません。
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/soumu/kokuji/28jourei7.html=Not Found
【平成28年 鎌倉市条例第7号 鎌倉市空家等対策協議会条例】

2016/07/07 – 第1条 この条例は、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)第7条第1項の規定に基づき、鎌倉市空家等対策協議会(以下「協議会」という。)を設置し、その組織及び運営に関し必要な事項を定める。

(本文、終了)

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※追記:リフォームモニターは終了しました。※

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