地主承諾書【借地承諾書/底地証明書】借地抵当権に対する地主の承諾書

地主の承諾書

地主の承諾書とは、金融機関が底地人から取る念書・確認書を意味します。借地人が借地契約を結んだ土地に建物を建築する際の融資資金を貸し付ける金融機関は建物に抵当権を設定します。

地主承諾書は、

地主である底地人に対し、借地人所有の建物に抵当権を設定することを承諾させ、のちの差押え・競売などの債権回収の証拠とするために署名押印させる

書類です。金融機関にとって地主の承諾書は必要不可欠な書類です。

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しかし、地主としては地主承諾書など別にどうでもいい書類であり、また、余計な負担を背負わされる可能性のある危険性を持つものでもあります。

借地抵当権に対する地主の承諾書

地主承諾書が単に、底地証明書、つまりこの土地を確かに貸して建物を建てさせる許可をしましたであれば問題ありません。

また、貸し地の上に建つ建物に、「ローン返済の担保である抵当権設定をします、承諾して下さい」というだけの書類にも注意は不要です。

借地権者が住宅ローン返済を滞って競売になろうが、地代の取りっぱぐれ程度のロスしかありません。

しかし、地主承諾書の多くは、

底地人にいらぬ負担をかけ、借地権者が銀行に債務不履行を起こした時にトバッチリ的な〈代理支払い〉にも似たような義務を要求する

借地抵当権に対する地主の承諾書(借地抵当権が地主にも及びそう)であるから安心ができないのです。

借地承諾書

以下は、ほぼ公的機関と言ってもいい「住宅金融支援機構」が地主に記入依頼をする「地主の承諾書借地承諾書」です。

A4サイズ1枚で、「地主さんの土地に建てる借地人の建物に抵当権を設定しますね」程度のアンケート用紙みたいになっています。

そして、一番下の〈一回り小さな文字サイズ〉で書かれた【注意事項】の5番目には、以下の文言が書かれています。

【ご注意】なお、次の事項を了承の上、この承諾書を発行してください。

↓(1~4は省略)↓

5.賃貸借または地上権の場合で、借地人が地代を支払わなかったときは、機構において借地人に代わって地代をお支払いすることを検討します。したがって、賃貸借契約などを解除する前には、必ず機構にご連絡ください。

住宅建築に関する地主の承諾書 – 住宅金融支援機構

さすがに公庫の借地承諾書だけあって、「地代をお支払い(するのを検討)します」とソフトです。住宅支援機構の地主承諾書はこのように丁重です。

公庫の住宅ローンを請けて営業している金融機関やファイナンス会社は、この住宅金融支援機構の書類をベースに地主の承諾書を作成してますから、大体どの借地承諾書も似たようなものです。

地主の承諾書(借地承諾書)と住宅ローン

以下は、オリックスによる「地主の承諾書(借地抵当権に対する地主の承諾書)」です。

サラ金・街金をしのぐ冷徹な債権回収で知られるオリックスの地主承諾書だから、どんな縛りを地主にかけるかと思いきや!!

単なる公庫の住宅ローンの窓口用の承諾書だから、〝【注意事項】の5番目 〟が変わってるだけ。見ても面白くありません。

住宅建築に関する地主の承諾書 – オリックス

5番目が、

(注5) 賃貸借または地上権の場合で、借地人が地代を払わなかったときは、独立行政法人住宅金融支援機構において借地人に代わって地代をお支払いすることを検討します。

となってる以外は公庫の地主承諾書(借地承諾書)と変わりません。

ちなみに、宅建業界を統括する「全宅連」の全宅住宅ローンの地主承諾書も中身はまったく同じ。

住宅建築に関する地主の承諾書 – 全宅住宅ローン

底地証明書

地主承諾書が上記の住宅金融支援機構のような単なる確認書、「底地証明書」なら何の問題もありません。

しかし、地主承諾書の多くは、単なる底地証明書ではなく上記の【注意5―借地人が地代を払わなかったらお知らせください】の内訳が金融機関のほうにばかり都合いい内容になってるのです。

上記【注意5】は、底地証明書の枠を超えて、《借地人が地代を払わなかったら私たち機構が払いますよ》と連帯保証するような地主の承諾書になっています。

注意

一般的な地主承諾書・底地証明書は、このホントかウソか分らない【注意事項】に銀行や信用金庫・信用組合がいち早く債権回収するための文言が書かれています。

即ち、

  1. 借地権者の不払いで借地契約の解除原因が発生したら地主は金融機関に通知する義務がある。
  2. この通知義務を内容とする《地主承諾書》の目的は「借地権の保全」のためである。

など。

ちょっと考えると、「おかしなこと」を言っています。

地主承諾書(借地承諾書)と借地権消滅

《地主承諾書(借地承諾書)》の目的は「借地権の保全」のためとかいいつつ、借地権者の借地代滞納を銀行にいちいち知らせたり、銀行が代払いしてくれるならともかく地主にメリットはありません。

そして、借地権の解除原因が発生したら、本来、地主はさっさと土地の賃貸借契約を解除して、地代を未払いするような不良借地権者を追い出し借地権消滅を喜べばいいだけです。

1の「借地権解除原因の通知義務」なんて地主には不要。

借地契約を解除するのに、地主本人が金を借りてるわけでもない、恩義があるわけでも何でもない、金融機関にイチイチ知らせる義務はありません。

そもそも、借地権者の未払い、対抗措置を取らなけりゃならない点では地主と金融機関は対等もしくは〈ライバル〉関係にあるわけです。

それを当り前に《義務》だといって、さも〈金融機関が立替払いしますよ〉といってはばからない、そんな書類に記名押印の義務はありません。

借地権承諾書(底地証明書)の不明瞭

承諾書をみながら「将来、代払いするって言うなら、うちと借地人との土地賃貸借契約の『連帯保証人』として、お前ら銀行が先にサインしろ!」と言っていいのです。

そして、借地権承諾書2の「借地権の保全」は底地人にとっては、まったく不要。地主としての利益に反する行為です。

借地権を守るべきは、借地権者本人とこれを担保に取ってる銀行です。

地主は地代その他の債務不履行があったら、とっとと借地権解除させることが自己の利益になるわけで、「借地権の保全」に協力することは金でも貰わなきゃ、1円分のメリットにもなりません。

地主承諾書の構成―借地住宅ローン

借地権者の地代未払いを教える義務があるなら、

借地権者が住宅ローン返済を怠ったら、お前ら銀行は俺ら地主にそれを教えてくれるのか?

なんで、一方的にお前らに対してだけ情報提供してやらなきゃならないんだ?

って当り前の話。

でも、地主承諾書の多くは上記の住宅金融公庫の書類のように〈ソフト〉だし、疑いを持たせる余地なく作成されていますから、底地人の多くは何の疑問もなく署名押印してしまいます。

《地主承諾書に印鑑証明は不要です》なんて、気軽にフレンドリーに見せているところが、疑問を持たせないポイントかもしれません。

地主の承諾書 判例

有名な「地主の承諾書判例」というのが、平成22年9月9日に出ています。

不動産判例研究会

裁判所の判決

何のことかというと、地主承諾書の「【地主の通知義務】を怠ったら銀行が地主に損害賠償請求してくる」、という怖い裁判例。

この判例はホントはもっと複雑で、銀行が借地権者の未払いをすぐさま地主に押し付けてくる、なんていう内容じゃありません。

でも、大ざっぱにいえば、場合によって、そういう可能性があることも否めないのが地主承諾書だという事を示唆してくれるものです。

地主承諾書による地主の損害賠償義務

判例を引用すると長ったらしいので、一行で要約すると、

地主は承諾書を差し入れたことで損害賠償義務に合意した。この賠償義務は署名捺印してあるからには銀行の説明不足を理由に拒絶できない。

となります。100%銀行の味方?というような判例です。

判例の説明してあるサイトを検索しても長ったらしくて分りにくいですが、要は【地主の通知義務】にある「借地権の保全に努めます」という文言ひとつで地主に賠償責任の「義務」が生じるわけです。

地主承諾書と地主の資産活用の相談窓口

そもそも、土地開発のデベロッパーが共同事業としての土地信託を持ちかけてくる以外、土地を借りたがってる「借地希望者が地主にアクセスしてくるルート」は限られます。

不動産屋の仲介もありますが、東京都内23区や横浜・川崎など大都会の駅近の高額な土地価格のエリアでは、借地権者と地主をセッティングするのは、地元の銀行や信金・信組です。

地場の信金信組や地元に支店を持つ都銀は、借地権相続などの情報の宝庫です。そして、事業者の経営相談が一番ひんぱんに行なわれている中小企業の相談窓口です。

そしてまた、地元の地主の資産活用の相談窓口も信金信組や都銀の地元支店です。

地主の承諾と借地案件/銀行・信金・信組

地主さんから底地売買について相談を受ける時、「銀行からこんな話を持ちかけられた」という話題を聞くことがよくあります。

都内や横浜に土地を持つ地主へ銀行が持ちかける《儲かってる飲食関係の自営業者が店舗拡大のために借地できる土地を探してる情報》の多さには脅威を感じます。

借地権売却の案件数は、地元のどの不動産屋よりも、金融機関に持ち込まれ、地元の地主に仲介されることが多いのです。

銀行が仲介して、銀行の金利利益追求のために成立した、土地賃貸借契約(賃借権売買)ばかりなわけです。

なにを言いたいかというと、

銀行は、本来、土地を貸してくれるパートナーであり〈上客〉である地主にも、いざとなれば仲介責任は取らずに、借地権者の借金のツケを廻してくる

組織だということです。

地主承諾書で損害賠償されないためには?

以上のように、地主承諾書は借地権と借地の抵当権を保全することで、「銀行の利益を保全」するだけの、底地人にとっては百害あって一利なしの書類です。

しかし、地主承諾書に署名しないと、借地権者も土地を借りれず、地主としても底地利回りの低下につながります。

どうすべきかというと、借地抵当権に対する地主の承諾書を一番欲しがっているのは、金融機関だということを念頭において、ノラリクラリすることです。

上記のオリックスや全宅蓮の地主承諾書のように、全国共通の「定型文」を金融機関が持ってきたら、突き返せばいいだけです。

「当行所定の書式じゃないとダメなんです」等と言っても、突っぱねればいいんです。(担当行員の責任逃れな言い訳です)

銀行も金を貸さなきゃ商売になりませんから、いずれ、「特例(極秘)ですから」といって地主の承諾書の「義務」欄に訂正の棒線と訂正印を押印した書面を出してきます。

買取契約のさい、細かく重要時呼応を説明する業者が一番。

「この地主の承諾書は絶対に表に出さないで下さい」という約束には応じて、それの控えを取っておけば間違いはありません。

地主承諾書は表に出す必要もなく、自分の権利さえ守れればいいので、訂正印の押された地主承諾書は金庫の奥に閉まって曾孫の代まで門外不出にしておけば損害賠償の危険は回避できます。

(本文、終了)

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※追記:リフォームモニターは終了しました。※

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