空ローン―借金整理の住宅空ローンとローコスト住宅の価格査定

空ローンとは?

空ローンとは、「からろーん」と読む言葉どおり、カラのローン、架空商品のローン契約を意味します。

空ローンは、サラ金会社の借入件数が多くて返済に行き詰った多重債務者が、「カードで現金化」や「借入まとめ一本化」等を広告にうたっている金融業者と共に、自動車などを買ったことにして、銀行や信販会社から販売店に支払われる資金のキャッシュバックを受け、その後はそのショッピングローンの支払いをしていくというものです。

一見、通常の商品売買のようですが、消費者にはクレジットカード会社へのショッピング枠利用分の返済義務が残っているため、渡された現金と立替金との差額を実質的な利息と捉えれば、高金利の借金をしているのと何ら変わりません。

クレジットカードの現金化|国民生活センター

最近、ショッピング枠現金化業者が減った理由は、銀行や信販会社が空ローンの審査を厳しくしたからかも知れません。

現金処分のイメージ写真。

なぜ、空ローンがなりたったかというと、昔は信販・クレジットの顧客データとサラ金の顧客データとはリンクしていなかった事、サラ金は多重借入しているのに信販系は借入ゼロで借入枠が余った人が沢山いたことが理由です。

空ローンの手数料(サラ金金利が高かった、昔のお話)

空ローンの手口は簡単に説明すると次のようになります。これはサラ金金利が高かった、昔のお話です。

例えば30万円くらい必要な場合。サラ金会社からはもう「サラ金ブラック」で借りられなくなった消費者は、金融業者と提携しているパソコン屋から40万円のパソコンを購入した事にして、クレジット契約をします。すると、パソコン屋には10日後に40万円が入金されます。

その40万円からパソコン屋と金融業者の手数料を10万抜いて、残った30万円を消費者は手にします。消費者は40万円のローンを支払いますが、とりあえずの資金繰りはできたし、ショッピングローンの金利はサラ金金利より安いので、手数料をブン取られても消費者は痛くないのです。

というより、多重債務に陥っているような人だから、目先の金に目がいって金利や返済、ボッタクリ手数料の事は考えられないため、こういう「商売」が成り立ったのでしょう。

空ローンの組み方(オートローン、自動車ローン)

以上がシンプルな空ローンの説明ですが、空ローンの組み方は他にも沢山あります。パソコンの架空購入による空ローンでは小口の借入しかできませんが、空ローンの中でもメジャーな車の空ローンだと、オートローンで500万円くらい借りる事ができました。

また、昔は車を実際に用意しなくても、書類1枚で車を買ったことにできました。

とはいえ、オリコやオリックスなどの信販会社や銀行がこの空ローン契約を封じ込めるべく、ローン契約の締結後の入金を「車両購入後、名義変更して車検証に名前が登録されてから」に変更したため、車空ローンの組み方での資金調達は困難になりました。

消費者の安心・安全を守るクレジット契約の新ルール
~改正割賦販売法~

「改正割賦販売法」により、支払い能力を超えるクレジット契約を防ぐための新たなルールが設けられました。

政府広報オンライン

空ローンの罪(コピー機リースの架空契約)

空ローンの組み方には他にも、キャノン販売やリコーリース等のリース契約を利用した「空リース」というものもありました。空リースは車空ローン同様、2百万円くらいの新品コピー機を買った事にして、キャノ販やリコ販の代理店に入金されたリース費用を手数料を引かれてキャッシュバック受けるものです。

事務機器のリース金利は、超安いので、複数のサラ金から100~150万円位の借入をしてる人は、この空リースで見事、まとめ一本化ができたのです。でも、「ある販売代理店に限って、個人の客にやたらリース契約している、なぜ?」とキャノ販のリース担当者が気がついて犯罪として立件されました。

空ローンの罪は、詐欺罪か有印私文書偽造等行使・公正証書原本不実記載などで、現代ならこれに「電磁的~」という文言が加わります。空ローンの罪は偽造で済めば罰金刑ですが、詐欺罪を問われると実刑判決になります。

建築申請の図面イラスト

住宅ローン・空ローン

住宅購入ローンを利用した空ローンに似た、「オーバーローン」というのもありますし、現在も行われています。住宅ローン・空ローンは、不動産を実際に購入してしまう為、「空ローン(架空ローン)」という言い方は適切でないかもしれません。

住宅ローン・空ローンは、「新古マンション」の購入資金を住宅ローン契約する時に定価に100万円くらい上乗せするのです。新古マンションとは、新築分譲されたものの売れ残った物件で、業者間で安値で取引されます。格安で仕入れて「定価」で売れるだけでも業者は儲かるので、お客さんに100万円くらいキャッシュバックしても懐はいたまないのです。

頭金ゼロ円+50万円キャッシュバック

今も、マンションで「頭金ゼロ円+50万円キャッシュバック」なんていう広告を見かける事があります。50万円キャッシュバックの50万円は結局、自分の住宅ローン返済に含まれている金です。

不動産屋からのプレゼントやサービスでもらえた金じゃないのはちょっと考えれば分りますが、このキャッシュバック広告に釣られる消費者が多いのには、ビックリです。

行き過ぎたスマートフォンに係る端末価格割引・キャッシュバック等(スマートフォンの端末の購入を条件とした割引・キャッシュバック等が、端末価格相当を上回るもの)

(今、色々なキャッシュバックが規制されてきています)

キャッシュバック規制|総務省

ローコスト住宅と空ローンと欠陥住宅の賠償

新古マンションの例は最近までの話で空ローンの金額も少ないですが、ローコスト住宅の価格の「安さっぷり」を見ていると巨額の空ローンが実現可能なように思えます。そして、これが手抜き工事を産み、欠陥住宅損害賠償の原因にもなりそうな危惧があります。

検査する調査員の写真

住宅の空ローンは、住宅の原価が安い事が重要なのは上記の通りです。ローコスト住宅は土地価格は別として、住宅価格は777万円とか500万円とかです。アイダ設計やタマホーム等の大手なら、スケールメリットで充分な建材を激安の原価で仕入れできるでしょうから安全です。

ローコスト住宅の基礎知識|home’s

ところで現在、地方の小規模工務店まで低価格住宅の建築を宣伝して、実行しています。買取物件として調査した事がありますが、むちゃくちゃ「安普請」です。

そして、この安普請の建築キットが空ローンと組む事で、普通の住宅に化け、将来、普通の物件として流通してしまう可能性がある、という「想定」をする事も、可能です。

不動産査定マニュアルよりも安い価格査定

1千万円の土地に5百万円の建物を建て、住宅ローンを組むと、不動産の登記簿謄本には1500万円の抵当権が記載されます。買取業者が不動産を買取る時、謄本の1500万円の抵当権を見ると、頭金は別として、単純に「あー、1500万円の担保評価を銀行がしたんだなー」と考える事ができます。

そこから「土地が1千万円なら、この建物は5百万円で建てたローコスト住宅だ」というのが分ります。

となれば、買取業者としても一般的な住宅を対象にした不動産査定マニュアルに従うよりも、築年数における経年劣化のマイナス査定金額を割り増しして考えないとなりません。「安普請な家」として、見えない部分の老朽化の進み具合も差引いておかなければ、自分や売り先が将来的に大損をします。

しかし、これに借金整理のための空ローンを絡ませられても、絶対に見抜けないから恐いのです。借金を住宅ローン支払いでまとめたい債務者と、まとめ一本化の金融業者と、ローコスト住宅建築のノウハウのあるローコストビルダーが組むと、銀行も裁判所の競売の調査官も誰にもバレない空ローンが実現してします。

住宅ローン審査

「1千万円の土地+5百万円の建物(=1500万円の住宅ローン融資)」を建てるローコスト住宅キット。

この建物代金に更に1千万円上乗せして、「1千万円の土地+1500万円の建物(=2500万円の住宅ローン融資)」を銀行に借入申し込みしても、銀行は建物の価値を住宅ローン審査基準にしていませんから、2500万円の融資は易々と実行されます。上乗せした1千万円は「純利益」です。

ローコストビルダーは、いつも定価5百万円で売ってるのだから、5百万円もらえれば何も言う事はなく、1千万円から金融業者への手数料をボッタくられても、ゼロ金利政策の恩恵である超低金利の住宅ローン金利に借り換えられた事になり、かつ、持ち家になれるので債務者も満足でしょう。

銀行の審査は設計図を確認し現場も見ますが、「住宅がそこにあって、借入する者が生存してた」ら、住宅ローン審査はとおります。施工業者がローコストビルダーでも住宅ローン審査に影響はないし、耐震基準さえ問題なければ、その住宅の建材の質や施工レベルなど、住宅ローン審査に関係ありません。

住宅金融支援機構の審査は「欠陥住宅」でも合格と過去に書きましたが、建物の内容・質に関する審査はほぼゼロです。

空ローンで借金整理してもまた多重債務になる

銀行は、売主と買主が2500万円で売買契約成立させたら、それに対し、「いや、この家だと500万円でしょう?」なんてクチを挟むマネはしないのです。銀行は売買が成立した後、「購入代金を買主の代わりに売主に支払い、買主から金利を取って自行に返済させる」のが仕事です。

貸し付けた売買代金を回収するための担保に、その土地建物に2500万円の抵当権を登記すれば、貸付業務は完了。ここまでの間に、余分な「1千万円の空ローン」に文句を付けられる可能性はありません。

メリットを計算する電卓の写真。

債務者は金融業者に空ローンぶんの手数料を抜かれても大金を手にし、その金で数百万円あったサラ金他の借金をすべて清算することができます。

多重債務は、「病気」のようなもので、一度清算してもまたドンドン借金を繰り返します。いずれ、住宅ローン支払い遅延となり、銀行に差し押さえ、競売をかけられるでしょう。借金ゼロから多重債務に陥るまでの期間は多くが5年ほど。築5年の真新しい競売物件が誕生します。

裁判所の競売物件調査官は、競売物件の現地調査に行き、占有者から意見聴取し、建物内を写真撮影し、競売入札者用の書類にまとめます。現地調査はしますが、建材の質など調べるヒマはなく、設計図どおりの間取りか(変な増改築をして既存不適格物件になってないか?)位しか確認しません。

この「競売3点セット」といわれる物件明細書・現況調査報告書・評価書のどこにも、「この建物は5百万円のローコストのはずが1500万円の値段が付いてる」とは記載されません。

マトモな建物の競売物件と思って落札し損害賠償

競売マンションは投資用が多いですが、一戸建て住宅を個人の人が競売で買う時はほとんど自分用です。築年数の浅い新品同様の物件を落札して、いざ住み始めたら、数年でローコスト住宅の脆弱さが露呈して建物にガタがきた、なんて事になるかも知れません。

安普請の家は一度ガタがくるとリフォーム程度では修復が困難です。初めての競売で築浅の家を手に入れたのに早々に建て替え費用を必要とするハメになるかもしれません。

個人の競売購入ならここで話は終わりですが、競売物件を買取って転売している不動産業者が、「1500万円の建物のつもりで競売で買って、その価値のある中古物件として売却」したのなら、購入者は激怒して損害賠償問題に発展するでしょう。

過去に「査定0円―買取0円評価と査定無料」にて書いたとおり、不動産査定には車買取の査定ほどには徹底した調査マニュアルで信用に足るものがありません。競売でなく任意売却案件で不動産業者が買取る場合も、謄本に1500万円の抵当権が付いてたら、その価値を信じるほかないのです。

ローコスト住宅の激安価格が過当競争になり、薄利多売過ぎてローコストビルダーも普通に格安販売だけしてたら食っていけないはずです。

ローコスト住宅と住宅ローン・空ローンがからむトラブルは、今はまだニュースにありませんが、いずれ出てきてもおかしくない、と思っています。

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※追記:リフォームモニターは終了しました。※

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